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3話

 

 田渕も灰色の平茶碗を持ち、ほうじ茶を啜る。



「美味しいお茶ですね。お茶の味は分からないけど」


「頂きものでして」


「ハーブティーのお店の彼女から?」


「そうです」



 田渕はほうじ茶を飲み干して、肘をついて話す。



「上田カイリさんが亡くなった日なんですが、近くにこの男がいたんですよ」


「近くにとは? あれは事故でしょ?」


「当然両面で捜査はしてまして。可能性ですよ。別に全てを事件に結び付ける気はないのですが」



 田渕の深い眉間の皺を見る。彼の年輪とも言うべきそれは、とても深く、説得力を増幅させる。



「監視カメラに彼の姿が確認されています。とても上田カイリさんに近い場所で」



 拓哉は考える。ただでさえ、母親に言われた父親の件で頭がいっぱいだったが、瑠璃の何気ない一言を思い出す。



『私、何するか分からないから』



 浮気や裏切りがあった場合、自分でもどうなるか分からないと言っていた。16歳の女の子の言う事だし、それほど重く捉えていなかった。浮気や裏切りの抑止としてそう言ったのだろうと。所謂“脅し”というやつだ。



「その男がまさか突き落としたと?」


「……そうだとするなら、これは殺人事件という事になりますけどね」



 その監視カメラを見た訳ではないから分からないが、確か夕方のラッシュ時だと記憶している。



「この男が突き落とすところが確認出来たんですか?」


「何とも言えませんね」


 何故、この写真の男をマークしたのか分からない。おそらく、人混みで突き落としたかどうかを監視カメラで確認する事は不可能に近いかもしれない。拓哉は気になっていた。どうして他にも上田カイリの近くにいたであろう人の中で彼に焦点を当てたのか──。



「しらみつぶしってご存知?」


「唐突ですね。どういう意味ですか?」


「恥ずかしながら、私は叩き上げでしてね。所謂エリートではないのですよ」



 着ているスーツや靴等でそれは分かっていた。見た目で判断してはいけないかもしれないが、見た目からでしか情報をキャッチ出来ない。以前に読んだ本でこんなものがあった。『人は見た目がほぼ全て』──。



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