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6. 前世チート炸裂、大人げなかったかな?

どういう人が読んでいるのかは気になります、

お付き合いいただけるなら、贅沢は言いません。

 次の日学校にいくと、隣の席の茉奈ちゃんに話しかけられた。

「かなたくん、塾に来てたよね、通うの?」

そりゃ、同級生の一人や二人、通ってる子もいるか。

「わかんない、ママが受けてみたらって言うから」

「学力判断でしょ?わたしも受けたよ」

茉奈ちゃんはちょっと前からあの塾に通っていたそうだ。茉奈ちゃんのお母さんからは、ちょっとでもいい中学、高校、大学に入るように言われたんだって。

「東大とか受けるの?」

「そんなわけないでしょ」

一撃で否定されたよ。僕は受けるだけ受けたからね。そんな一生懸命否定しなくてもって思った。

「あの大学は、化物しか受けないのよ」

じゃあ、僕は化物だな。受けるだけは受けたもんね。

「受けるだけなら誰だって受けられるでしょ」

茉奈ちゃんはこれだからリテラシーの低い人は、って顔をしてこう言ったんだ。

「共通テストってのでいい点数取らないと、受験すらできないのよ」

流石にそれは成績悪すぎるでしょ、とは言わなかった。

 翌日塾から電話があったよ。たぶん面談の調整だったんだろうね。こうやって個人面談を実施して、さらなる洗脳に入るのは常套手段だ。そして、「合格するためにはこの講座が」とさらなる売り込みを受ける。僕たちもいっぱいオプション講座受けたよね。いつも思うんだけど、「お子様のため」とかいうなら、問題と解答一式くれればいいのにね。僕なら塾なんか行かず一人で頑張るよ。でも僕には分かっていた。塾の目的は合格者を増やすことじゃない、儲けることだよ。だから細切れにして、あの手この手で値を釣り上げる。

 何日かして学校から帰ってくると、もう僕を受験させると息巻いてる美沙子さんがいた。

「かなた、すごいよ。算数は満点だって!」

全部やったから満点もあるかもと思ったら本当に満点だった。

「国語も九割取れてたって」

まあそんなもんだろ。

「それでね、公立なんて勿体ないって」

美沙子さんの鼻息が荒い。

「でも、塾も私立も、高いんだよ」

「いいの、パパのお小遣い減らすし、私もパート始めるから」

ちょっとそれはさすがに申し訳ない。結構お高いはずだよ。

「さすがにもったいないよ。やめとこうよ」

と、僕は言った。

「じゃ、うちが大金持ちで、かなたの塾代なんか毎晩使ってるような家なら、そんなこと言った?」

頭に前世の生徒たちがちらついた。

「言わないかも」

「じゃ、決まりね」

美沙子さんの笑顔をみてると、もう断るのがバカバカしくなった。こうして僕は塾に通うことになったんだ。

 シグマが理解してるかはわかんないけど、中学受験塾って新学年は2月から始まるんだ。だから僕は1月いっぱいまで、塾には行かないことにした。だって、月謝が勿体ないじゃない。

 塾に通うまでの間の、ピアノと英会話のことにも触れておこう。ピアノは教室の先生に、

「上手です!初めてとは思えません」

と言われたんだ。

「すでに同い年の子よりは上手いです」

と言われてちょっと凹んだ。中身、一応経験者の成人男性だからね。自覚してても、面と向かって言われると、ちょっと悲しい。

ただ、手が小さくて昔の教本はまだ弾けない。年齢相応の教本を順番にやっていくことになった。

 ピアノっていう楽器は面白いもので、指の角度、力の入れ方、抜き方で音が変わるんだ。前回小学生だったときはそんなこと考えたことはなかった。けれども、今度の僕はそれがわかる。

 時間はいっぱいあるし、退屈だったのも幸いした。ちょっとずついろんな音を弾き分けられるようになるのが楽しくて、気がついたら真っ暗の部屋で練習していたこともあった。

 あ、そうそう。マンガもいっぱい読んだよ。美沙子さんも陽一郎さんもマンガが大好きで、家にいっぱいマンガがあった。自分が昔読んだものもあって、どうやら前世と同じ世界のようだ、と思った。わかんないけどね。

 土曜日や日曜日は、近所の古本屋まで自転車で行って、よく立ち読みをしていた。本当に、時間があるって、素晴らしい。

 英会話については、とにかく、基本的な会話を聞き取れるように、正しく発音できるようにだけ、お願いした。

 毎週毎週、テキストに書いてある例文をちゃんと発音できるようにレッスンを受ける。こっちも毎日三十分、タブレットで発音練習をして、レッスンで矯正して、を繰り返した。こういう、地味な訓練は早く始めれば始めるほど、回数をこなせばこなすほど、効く。なんだけど、出来るようになるまでが、なかなか時間がかかるんだよね。出来る状態で子供に戻って、小学生の暇な時間に出来て、本当に良かった。

 


僕が大学受験してた頃は、東大の足切りにかかるなんて、なんてどんな低得点だという感じでしたが、最近の足切りなかなかやばいですね。僕らの頃に比べて、人であるならばできる努力は、みんなやってくるように思います。

こういう投入時間勝負の入試って正しいんですかね。

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