10. 初めて口を交わした日
アクセス解析見て一喜一憂する毎日です。
もうちょっと伸びてほしいなあ。
アルティメット特訓の日がやってきた。美沙子さんに連れられて遠くの教室までやってきたよ。その頃はお前と二人で毎週通うことになるなんて思ってなかったけどね。
教室に向かうと座席が指定されていた。座席表を見ると僕の隣にあの「水無月至馬」の名前があった。僕はどんなヤツなんだろうと、不安と、好奇心が入り交じった気持ちで待っていた。そして、隣に座ったのは時々僕の周りをチョロチョロしていた、あの可愛い男の子だった。今だから言うね。ちょっとラッキーだと思ってたんだよ。あの頃のお前の外見の愛くるしさって、本当に破壊的だったんだから。でも、お前はいつものように、僕なんかいないかのように、自分の席に座った。
問題演習の間、お前の頭の上にはてなマークがたくさん見えたよ。お前を見てるのは面白かった。おいおい、大丈夫かよ、と思った。こんな変なヤツがこのクラスにいていいのか?この塾の選抜基準どうなってんだ、と思いかけて、教室の掲示板でいつもコイツとデッドヒートを繰り返していることを思い出した。
こんなやつでも強者のはずだ。制限時間が終わって、さて声をかけようとすると、おまえはずーっとぽーっとして虚空を見つめていた。声をかけても僕なんかいないかのように返事がない。さすがに頭にきて、お前の答案を無理やりひったくると、僕は自分の答案を叩きつけた。
「ほら、答案を交換して答え合わせしろって言われただろ」
お前はぽかんとして、僕の答案に向かい出したよな。お前の答案にはびっくりしたよ。10問中9問が白紙。でも、その一問は僕が匙を投げたやつだった。なんだコイツ、と思ったらお前が話しかけてきた。
「かなたくん、すごいすごい」
「えっと、お前のこの名前、なんて読むんだ?」
「シグマ」
その日始めて読み方が分かった。
お前は僕とこの日に初めて出会ったと思ってたかもしれないだろうけどね。
ところで、覚えてるかな?
授業が終わったあと、
「頭撫でていい?」
って、聞いたのを。そしたらお前は黙って頭を差し出して、フリフリと頭を揺らしたんだ。可愛くて、愛しくて、ずっと撫で続けたのは大切な思い出だよ。
息子がここまでではなかったですが、わりに意味不明な解答作る人でした。なぜこれがわかる。なのに、なぜこれがわからん。
最終的には息子のほうが解けました。当然か。




