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明治維新がこなかった....(下)  作者: yuyuko50
第五章 あやかし連合による警察所襲撃
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第68話 新しい戦い方

遮那がいるために、第四隊は門で妖を食い止めることができなくなった。




ここぞとばかりに、大量の妖が庭へと雪崩れ込む。




エリオットは次の手をうつため、下に配置している鉄砲隊の四人に合図を送った。






榊はいよいよ自分の出番が来たと身構える。




屋根からの攻撃は狙いやすいが、敵からも丸見えだ。




エリオットは、あらかじめ邪魔が入ることを想定し、銃部隊を二つに分けていた。




榊は二つ目の部隊に回されていた。


警察所中の壁に穴をあけ、そこに銃身をつっこみ狙いを定める。






ここでの狙いは……




―― 「妖に指示をだしている二人の人間だ」




隣で第四部隊の先輩が声を上げる。




「どの戦いでも、肝となる者を狙う。


 さすれば、こちらに優位に働く」




榊は深くうなずいた。





敵の二人の男が入り口から悠々と庭へと入ってくる。


妖たちを中へと誘導しているようだ。




撃てば一瞬で居場所がバレる。


この一発を外すわけにはいかない!




先輩隊士が手を挙げる。


四人は一斉に引き金に指をかけた。




榊はごくりと唾を飲み込んだ。


絶対に成功させる!




―― 合図が降りた。




引き金を引いた。





―― パンパパン!!





乾いた音が聞こえ、二人の男がドサリと倒れる。





「やったぞ!」


先輩隊士の声が聞こえた。




榊は銃を穴から抜いた。




一瞬だった。




こんなものか ――。




自らは安全な壁の後ろに隠れ、引き金をひくだけで、人を倒すことができるのだ。




「なんとも言えないこの感じ……」




榊は複雑な感情に落ちいった。


しかし今、あの男達を倒すことは必須であり、それがこの戦いを勝利に導く重要な一手であったことは確かだ。




「やった……」




榊は整理できない気持ちと共に、深く息を吐き出した。






「すぐに刀を抜け!」




榊の葛藤などほんの一時、先輩隊士達は刀を抜き放つ。




見れば、先ほどの銃声で居場所がばれたのか、妖たちが総出でこちらに押し寄せてくる。




「ここからが本番!」


榊も刀を抜き放ち、立ち上がった。




「大きいものは相手にするな。


 小さいものから確実に仕留め、相良隊長が戻るまで持ち堪えろ!」




「はい!!!」




震える心を奮い立たせ、榊は庭へと走りでた。






「下にもいたのか!」


遮那は下からの銃声で、仲間二人が倒れたのを確認すると苦々しく下駄を叩きつけた。




「まあいいや。


 あいつら役に立たないし、ここからは、この遮那が全員相手してやるから、かかっておいで」




言うと、その細い体からは想像でもできないほど早く、軽々と、太刀を振り回した。




エリオットは素早く指で合図を送る。




屋根の上にいた四人の隊士たちは、遮那の周りを即座に取り囲んだ。


各々すでに銃に小剣を取り付けており、その剣先を遮那に向けている。




―― 一対一では不利だ。




だが、銃剣は槍と同じで距離を保ったまま相手に攻撃を加えることができる。




―― 取り囲み戦えば有利だ。




「へえぇ!


 銃はこうやって使うこともできるのか?


 面白いね」




槍のように、目の前に繰り出される銃剣を、遮那は太刀で軽くあしらう。


目の前の突きを捌くと、今度は後ろから別の鋭い突きが繰り出される。




「あっぶな!」


その突きを遮那は体を捻ってなんなくかわす。




「でもまあ」


 


隊士達の八方同時に繰り出された突きを、高い跳躍で交わした遮那は




「当たらないと意味ないよね!」




跳躍したまま、太刀を前に突き出し、空中で一回転した。






―― ブシュッ





遮那を取り囲み、銃剣を突き出していた隊士達の腕から血飛沫が上がる。






ぐわぁあ





エリオットは目を剥いた。




(あれは人間の技にあらず)




隊士達は銃を取り落とし、片膝をついた。


腕を深く斬られ、銃を持つこともできない。




一度に四人がやられた。





「で?」




遮那は華麗に屋根の上に片足で舞い降りた。




「隊長!


 次の指示は?」




エリオットのひきつる顔を面白そうに見ながら、遮那は太刀を大きく掲げた。


膝をつき、腕を抑える隊士達を葬り去ろうというのだ。


その顔に残忍な笑みが浮かび、今から起こす殺戮を楽しもうとする狂人の気配が感じられた。




「さあ、全員、死んじゃえ」


太刀を振り回そうとしたその瞬間!





―― パァン





遮那の額に小さな穴が開いた。




え?という顔のまま後ろに倒れ、そこから下まで人形のように落ちていった。




「エリオット隊長!」




隊士達の目の前には、懐から取り出したマウザーC96を片手で構えるエリオットが立っていた。




マウザーC96からは白い煙が上がっている。




「近距離で撃てる銃もあるのでな」




エリオットは下を見ながら、青く冷たい目で動かぬ遮那を見下ろした。

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