↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
明治維新がこなかった....(下)  作者: yuyuko50
第四章 裏切るということ
PR
56/91

第56話 別れ道

その場に座り込んだまま、一ノ瀬は清雅の後ろ姿を見送った。




「行っちゃった……」





空を見上げると、いつの間にか横に相良が立っていた。





「行かせたのか」




一ノ瀬は下から相良をじっと見上げた。




「本当は止めたかったんですけど」




湧き上がるさまざまな気持ちを飲み込み、一ノ瀬は息を吐き出した。






「それより、相良さん、ずっと見てたんですか?」




少し咎めるように睨むと、相良は前を向いたまま、ふっと笑った。





「迎えに行けばいいだけのことだ」




一ノ瀬は相良を見上げる。




「そうすれば、嫌でも帰ってくるだろう」




そう言うと、戻るぞと言って、踵を返した。




「相良さん……」




一ノ瀬は座ったまま、ゆっくりと振り返る。





「歩けません」




「は?」




相良が振り返りながら、嫌そうな顔をした。




「おぶってください」




嫌そうな顔から、面倒くさそうな顔に変わる。




「お前、ワシが来なかったら、どうやって帰るつもりだったんだ?」




「一晩、ここで寝てから帰るしかないですよね」




「それで、生きて帰って来れるつもりか?


 この寒空の下で」




相良は億劫そうに、しゃがみ込み背中を見せた。




「ほれ」




「もっと低くしてください」




「ほれ」




「もっと」




「……」




背中に重みが加わる。




「お前は本当に、面倒臭い奴に育ったな」






今宵は大つごもり。




寝ずに過ごすことはできないだろう。




しかし寝てしまうと白髪になるらしい。




相良は一ノ瀬を背負い直すと、警察所への道のりを急ぐのだった。







綾小路を追う刺客は全部で五人。




そのうち二人は警察の隊士だった。




五人は綾小路の足跡をたどるが、京への行き方は主な方法を除いても複数ある。


どこを通ったかは流石にわからぬ状態であった。




「宿をとっていたことで油断した。


 遅れをとったな」


刺客のうち、手首にも首にもムカデの刺青をした男が言う。




「しかし、京までの道のりに、時間をかけるわけにもいかぬだろう。


道は限られてくる」




「わかれて追うか?」




しばし立ちながらの作戦会議。




「必ず仕留めよとの上からのお達しだ」




男たちは二手に別れた。




果たしてこの人数で、綾小路を斬ることができるのか?


警察第三隊に潜り込んでいた男は思う。




(得体が知れない男だ。


 いまいち、剣の実力がわからん)




「とにかく待ち伏せをすればいい。


 奴も真冬の往還で疲弊しているはずだ」




男たちはなるべく体力を温存しながら前へ進む。


江戸警察は、あやかし連合の病におかされ、京都警察は所長に次いで、第一隊隊長も失うことになる。




これで日本の主力部隊は、ことごとく力を無くすことになるだろう。




男たちは勝ち戦を予感し、心が震える思いであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。