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明治維新がこなかった....(下)  作者: yuyuko50
第三章 信じるということ
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第44話 それぞれの思い(その二)

清雅と高岡は岩崎と別れ、警察所へと戻ってきた。


空はすっかり暗くなり、隊士たちも寝る準備を整えている。


二人が入り口の門を潜ると、一ノ瀬が待ち構えていたように二人を出迎えた。




「清雅くん。高岡くん。


 大丈夫?」




清雅と高岡は、思わず口を開け、驚きのまじった声で一ノ瀬に答えた。




「それ、そっくりそのまま一ノ瀬さんにお返しします」




冷たい風が吹く中、ずっと入口で待ち伏せでもしていたのだろう、一ノ瀬は寒そうにしながら立っていた。




「何かあった?」


「え?」




一ノ瀬の問いに、清雅と高岡は思わず固まる。




「何もないですよ」


急いで一ノ瀬の前を通り過ぎようとした清雅の腕を、驚くほど強い力で一ノ瀬が引っ張った。




「い!


 痛いです!一ノ瀬さん!!」




「ごめん」


思わず、一ノ瀬は手を離す。




そんなやり取りを、柱の影から綾小路が……部屋の奥から相良が見ていた。




「なんか、こないだも、同じようなものを、同じ所で見た気がするわぁ」


綾小路が眉をひそめる。




「紫苑くん。


人にやられて嫌なことは、自分もやったらあかんよ」




一ノ瀬は珍しく、綾小路の存在に今頃気づいたかのように肩を震わせた。




「おい。


人にやられて嫌なことの“人“は、誰のことを言っている?」


部屋の奥でこちらを見ていた相良が、ずいっと近くまで進み出てきた。




「あれ?


相良さんまで、また待ち伏せ……」


言いかけた綾小路の襟元が、グイッと後ろに引っ張られ、綾小路の首がしまった。




「ぐえ」




変な声を残したまま、後ろに引きずられる。




「ようやく生け取りましたよ。


こんなところで油を売ってないで、きちんと京都警察のことについて、話し合いましょ」


綾小路の襟元を後ろから引っ張った高階が、そのまま綾小路を引き摺りながら、奥の闇に消えていった。





残された相良と一ノ瀬は、気まずそうに清雅と高岡を見る。


清雅はふと口が緩むのを感じた。




「もしかして、心配して待っていてくれたんですか?」


清雅は誰よりも素直である。


嬉しいときは、嬉しそうにするのが清雅だ。




高岡は、そんな清雅の横顔を見て、思わず吹き出した。


「隊長たちがこっそり入口で待ってるなんて、俺たちめちゃくちゃ幸せ者ですね」




一ノ瀬の顔が一気に赤くなる。




相良は「ばかばかしい」と腕を組むと、視線をそらし、自分の部屋へと帰って行った。





清雅は胸の奥に広がった温かさを、そっと抱きしめるように息を吐いた。

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