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明治維新がこなかった....(下)  作者: yuyuko50
第一章 期待と疑念、それが紡ぐもの
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第15話 重大任務

「岩崎!西洋人の話、聞いた??」


昼飯を食べながら、同期の(さかき)が目をキラキラさせて話しかけてくる。




「あ?あぁ。見てねぇけど。建物くらい背が高いらしいな?」


適当な相槌に榊が頬を膨らませる。




「そんな化け物ではないな。確かに背は高いが、相良隊長より少し大きいくらいだ」


もう一人の同期、神崎は冷静に言葉を付け加えた。




「私、西洋文化にふれてはならないという決まりがあるから、全く知識がないんだよね。


でも、第四隊でボトルアクション銃に触れてから、一気に最新の情報に興味がわいたわ。


そしたらあの飛行船!!


それに、あの人たちの考え方といったら……」


興奮気味で喋る榊に神崎は小声で注意を促した。


「言葉を選ぶべきだろう。西洋人たちのあの言葉と態度は本心とは限らない」




(俺は見てもいないから、わからないけどな)


岩崎は煮魚の目をつつく。




同期の中で、自分だけあの場にいなかったことは、今でもうらめしく思っている。




(今の日本は、刀と武士の魂で守られている。新しいものばかりに目を向けるのは、今、努力を怠っているという何よりの証拠だ)


岩崎は、榊に冷ややかな視線を送った。





食事を囲む三人の卓に、突如長い黒い影がさした。


見上げると、第四隊隊長のエリオットがこちらを見下ろしている。




「新人たち、全員、食事がオワッタら、第四隊にきてください。


 急な任務が立ち上がりました」




(まじか。


 腕の見せどころじゃねーか)


岩崎は興奮した。


ようやく、それらしい任務につけるのだ。






第四隊の部屋には、第四隊の数人に加え、第一隊の高岡と藤堂副隊長、鬼頭と黒崎、清雅が座していた。


そこへ京都警察の綾小路と、相良、一ノ瀬が入ってくる。




(なんか、物々しい面子だな)


岩崎は居住まいを正した。




「信頼できる者しか声をかけていません」


藤堂の言葉に、新人三人は顔を見合わせる。




自分たちの腕も、信頼できると言うことだろうか?




「今から伝える情報は、絶対にここにいる者以外に漏らしてはいけない」


エリオットが三人に小声で話しかける。


その言葉に神崎がはっとした顔をした。




「内部に、テロリストがいるかもしれないからですね」


小声で返す神崎を、岩崎は眉をひそめて見つめた。





「西洋人の奴らが、江戸を見学するらしい」


相良の耳を疑うような言葉に、一同息をするのを忘れたかのように静まり返る。




「……」




「なですかそれ?」


清雅がすっとんきょうな声をあげた。




「今、江戸がどういう状況か、上はわかっているのですか?」


すかさず藤堂が膝たちになる。




「こないだ、京都警察の所長が殺されたんですよ?」




「視察というものらしい。


 どれほどワシらが遅れているか、見たいそうだ」


相良の言葉に一ノ瀬が急に笑い出した。


「見なくてもわかりますよね。


 着物着て、馬に乗ってるんだから」




そんな一ノ瀬の側頭部を相良がはたいた。




「で、ワシらがその見物の護衛につくそうだ」




言い方が、まるで他人事だ。




「そりゃ、えらいことですね。


 もしテロリストが仕掛けてきたら、どうやってその人たちを守るんですか?」


綾小路のふざけた言い方に「身を挺して守れとのお達しだ」と、面白くなさそうに相良が言う。




「この人数で、テロリストと戦うということですか?」


神崎が不安げに手を上げ相良に問うた。




「まあ、人数は少ない方が良い。


 立ち寄る場所など、情報を渡す人間は少ない方が良いからな」


相良はテロリストに襲われる可能性よりも、情報が漏れる可能性の方を恐れているようだ。




「狙われたら、絶対に守れるという可能性が減る。


 狙われないように策を弄する。


 まあ、自分の身くらい、自分で守ってほしいものだ」




相良は黒崎と清雅を見つめた。


「お前たちの力、あてにしている」


深くうなずく清雅を、面白くなさげに岩崎が見ていた。

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