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六四 マヨイガ 2/2 または 神の始 2/3

 金沢かねさわ(大槌《おおつい町》、遠野の町から北東に約20キロ、緯度は早池峰より南で小国の南東です)は白望の山の麓、上閉伊郡のなかでも特に山奥で、通る人は少ないです。


 6,7年前(明治)にこの村から、栃内とちない(土淵、遠野の町の北東に広がる広い土地です)の山崎のある人が娘婿を取りました。

 このお婿さんが実家に行こうとしたら山道に迷い(グーグルマップによると金沢-栃内は32キロで、今のように舗装はされていません)、また例のマヨイガに行き当たりました。


 前話と同じく玄関に入ると、家の様子、牛馬鷄の多いこと、花の紅白に咲いていることなど、すべて前話の通りでした。

 前話と同じく玄関に入ると、膳椀を取り出されている部屋がありました。

 座敷には鉄瓶の湯がたぎって、今まさにお茶を淹れようとするところのように見えて、どこか便所のあたりなどに人が立っているようにも思われました。

 はじめは茫然として後にはだんだん恐ろしくなり、引き返してついに小国の村里に出ました。


 小国ではこの話を聞いて現実だとする人はいませんでしたが、山崎の方では


「それはマヨイガだ。行って膳椀のたぐいを持ち帰り長者になろう」

 と考えて、婿殿を先頭に立てて人が多くマヨイガを求めて山奥に入り、ここに門があったという所に来たけれども、目にかかる物はなく虚しく帰ってきました。

 そのお婿さんもお金持ちになったという話は聞きません。

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