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三二 山の霊異 1/4
千晩ヶ岳(仙磐山。遠野郷から見て東の山の中)には山中に沼があります。この山はとても腥い臭いがするところで、この山に入って帰る人はほんとうに少ないです。
昔、隼人という猟師がいました。その子孫は今(明治)も続いています。
白い鹿を見たのでこれを追いかけ、この山に千晩もこもったというのがこの山の名前になっています。
その白い鹿は銃で撃たれて逃げ、隣の山まで行ったところで片脚が折れてしまいました。その山を片羽山と言います。
それから前の山へ戻ってついには死んでしまいました。その地を死助と言います。死助権現として祀られているのはこの白い鹿だと言います。




