9 なぞの肉《にく》のこたえ
長谷駅から電車に乗って鎌倉駅へ。
この近くに図書館がある。
ここは市内でもとくに歴史がある図書館だ。
ちょっとしらべものをするだけならスマホですませちゃうし、学校に図書室がある。
だから近くにあるのに、ここに来たことがなかった。
なんだかドキドキするなぁ。
クーラーがきいていて、汗がすうっとひいていく。
マップを見ながら、本をさがす。
「うーん。ふるい時代の料理なら、たぶん、歴史コーナーだよね。日本史かな」
古文書・民俗資料のコーナーをあてずっぽうでなんさつか引き抜いて、開く。
さがしては抜き、開いては戻しをくりかえしていく。
たなの角に背びょうしが日やけして、よめないくらい古い本があった。
その本の、あるページに目が止まった。
※鶏海老、鯛、蠣、赤蛙等ノモノヲ入能ク煮後「カレー」ノ粉一匙ヲ入煮ル
赤蛙? カエル?
スマホでけんさくにかける。
『カエル肉
明治時代には日本に食用として伝来。食感はトリ肉ににている。』
「もしかして、これがご先祖さまがカレーに使った肉!?」
まわりにいた人がいっせいに私を見た。
しずかなところだから、私はとっても、とっても目立っていた。
「す、スミマセン……」
あわてて口をおさえて、本をたなに戻す。
冷やあせでさむくなったよ。
なんとなくバツがわるくて、音をたてないようにしのび足で図書館をあとにした。
いそいで店にもどって、父さんと母さんに伝える。
「父さん、母さん!! カエルかもしれない! 古い本にのってた! しらべたら、ゆにゅう食品のお店でカエル売ってるって! 私、買ってくるよ!」
もうすぐカレーを再現できる!
宝ものをみつけたみたいで、ワクワクした。
※西洋料理指南 敬学堂主人より、引用
西洋料理指南 は、じつざいする本です。
カレーいがいにも、日本になかった料理がのっています。




