7 ご先祖《せんぞ》さまはポンコツおんみょうじ?
「ひゅ、クシュン!!」
おきたら目の前が白かった。
たとえでなくて、ほんとうに白い。
しかもなんだかあたたかくて、もふもふしてる。
なに、このもふもふ。
しかも、ぴったんぴったん上下していてくすぐったい!
……昨日あらわれたお客さま、雪路のシッポだった。
「ちょっと雪路! どいてよ! はぁー、もう! ムズムズするぅ!!」
どうぶつのアレルギーはないけれど、さすがにはなのあたりをコショコショされたらくすぐったいわ!
「ゆめじゃなかったかぁ……」
令和の日本に、しゃべるキツネがいるんだなんて。
友だちに言ってもだれも信じてくれなさそう。
ためいきひとつついて、私は部屋を出た。
うちは店と自宅が同じたてもので、一かいが店、二かいが住まいになっている。
足音を立てないようにゆっくりかいだんをおりて、サンダルをつっかける。
家から南に行くと海浜公園がある。
湘南の海が視界いっぱいに広がる。
うーん。朝日がはんしゃして、キラキラしている。
大きくのびをすると、海の香りがとどく。
きもちいいなぁ。
生まれて十四年、毎日海を見ているけれど、あきない。
海は毎日ちがう色をしているから、今日はどんな海かなってワクワクする。
まだ七時をまわったばかりなのに、もう波に乗っている人がいる。
近所のおじさんも、「おれぁ朝からサーフィンをするためにこのへんに家を買ったんだ」ってジマンしてたもんね。
砂浜におりてぼんやり海をながめていたら、雪路がきた。
「おお、早いな、マコト。感心だ」
「雪路こそ早いね」
「運動だ。草凪は言っていたであろう「腹がすいていたほうがメシがうまくなる、空腹は最高のチョウミリョウだ」と。お主はいつも金欠で、腹をすかせてから食べていたのを忘れてはおらん。つまり昨夜のカレーに足りなかったのはチョウミリョウ、”空腹”なのだ!!!!!」
ドヤァ! とハナをならす雪路。
「キツネになにバカなことを教えてんのよ、ご先祖さまあぁああ!!」
ご先祖さまはチョーがつくくらいビンボーだったの?
雪路の言う、「草凪がたよりないから力をかしてやっていた」って、もしかして実話??
よわっちいからお仕事が回ってこなくて食べるのに困ってたの???
カレーの具がほとんどないのもそのせい????
会ったこともないご先祖さまへツッコミが止まらなかった。




