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くさなぎときつねの思い出ごはん。  作者: ちはやれいめい
ねこまたの章《しょう》
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13/30

12 小町《こまち》がのぞむ思《おも》い出《で》のごはん

 雪路《ゆきじ》にかんゆうされてやってきたのは、ネコのあやかしだった。

 ようかい大辞典《だいじてん》なんかに必《かなら》ずのっている、ねこまた。


 父《とう》さんと母《かあ》さんは店《みせ》があるから、私《わたし》だけで話《はなし》をきくことにした。


 小町《こまち》は居間《いま》のざぶとんで前足《まえあし》を折《お》りたたんでまるまった。


「いやぁ、わがはいたちあやかしものの声《こえ》を聞《き》くことができるニンゲンがまだいるなんて、うれしいものですな。さすがは草凪《くさなぎ》の子孫《しそん》」


 見《み》た目《め》はかわいいミケネコなのに、おとしよりみたいな話《はな》し方《かた》をする。


「ふつうは話《はな》せないの?」

「だれもが話《はな》せるわけではない。そなたと父君《ちちぎみ》は草凪《くさなぎ》の血《ち》すじであろう? 草凪《くさなぎ》の血《ち》は、ヒトの中でもとくにあやかしと話《はな》す才能《さいのう》にめぐまれておる。母君《ははぎみ》も、おそらくどこかのあやかしはらいの血《ち》が入《はい》っているのだろう。草凪《くさなぎ》ほどつよいチカラではないが、においがする」

「そうなんだ」


 私《わたし》たちが雪路《ゆきじ》や小町《こまち》に話《はな》しかけていても、ほかのだれかにはひとりごとにしかみえないってことか。

 


「とりあえず、お客《きゃく》さまだし、お茶《ちゃ》出《だ》そうか?」

「いんや。わがはい、あついものは好《この》まん」

「へぇ。ねこまたってネコ舌《じた》なんだ。じゃあ冷《つめ》たいむぎ茶《ちゃ》にするね。つめたいのならだいじょうぶでしょ?」



 うちは、冷《れい》ぞう庫《こ》にむぎ茶《ちゃ》を作《つく》ってある。


 小皿《こざら》にむぎ茶《ちゃ》を入《い》れて出《だ》すと、小町《こまち》は前足《まえあし》をむぎ茶《ちゃ》につけてひとくちなめる。


「ほほう。ひんやりしてうまいのう」


 お気《き》にめしたようで、むぎ茶《ちゃ》はあっという間《ま》に空《から》っぽになった。


「それで、小町《こまち》はなにを食《た》べたいの? 食《た》べものの見《み》た目《め》、味《あじ》、おぼえているかぎり教《おし》えてほしい」


 わからないままだと、雪路《ゆきじ》のときみたいに時間《じかん》かかっちゃうからね。


「冷《つめ》たくて、白《しろ》くて、甘《あま》いものだ。さいこうのゼイタクだと、分《わ》けてくれた人《ひと》は言《い》っていた。近《ちか》ごろあついひがつづくから、またあれを食《た》べたくなったのだ」


 冷《つめ》たい・白《しろ》い・甘《あま》い


 牛乳《ぎゅうにゅう》プリン? バニラアイス? それとも白《しろ》あんのヨウカン? フルーツポンチのナタデココ?


 だめだ、当《あ》てはまるものがおおすぎる。


「…………も、もっと、他《ほか》にない?」

「ない。なやむほどのことなのか?」

「あてはまるものが多《おお》くて、かなりむずかしい」

「わしのカレーを作《つく》ってくれたではないか」

「今回《こんかい》のは無茶《むちゃ》ぶりがすぎるよ!」


「わがはい時間《じかん》はあるからな。できるまでこのやしきで待《ま》つことにしよう。良《よ》きにはからえ」 



 なんか、めちゃくちゃえらそうだな。

 あやかしってみんなこうなの?


 こうして小町《こまち》が求《もと》める思《おも》い出《で》の食《た》べ物《もの》探《さが》しがはじまった。



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― 新着の感想 ―
喋るお猫様のわがままなら、はい喜んでー!と応えてしまいたくなります(=^..^=)ミャー 麦茶気に入ってるの可愛いです♡ 冷たい・白い・甘いの三拍子は本当に選択肢が多過ぎて大変そうです>_<
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