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ももでん!  作者: さとうこうじ
第一部
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48/49

第四章 44話 ハインツとは

ハインツは、寡黙な男なのか、モモタウロスは、未だ彼の声を聞いた事がなかった。

そしてハインツは、ここまでモモタウロスに話しかける様子もなかった。

モモタウロスも彼に話しかける事をしなかった。

目の前で仲間が賊に殺され、しかも取り逃して落ち込んでいるのだろう。

彼は、机で肘をつき義手の両手を合わせて指を組みそしてその組んだ手に額を当て俯いていた。

時より震えているようにも見えた。

無念なのだろうと思いモモタウロスは、彼には触れず先に寝床についた。

ボーっと眠気を待つ中で襲撃を思い返して賊の手掛かりは無いかもう一度思い返そうとしてみた。

しかし思い返すと、ハインツに返り血や闘って乱れた後などあっただろうか?

あの時ハインツが、剣に手をかけ構えていたまで見えたが、その後の乱戦で彼が闘ったかどうかまでは、モモタウロスは見ていなかった。

あの後、天幕に戻って一同を見渡した時にどうだったか、クランは、息を荒くし賊の返り血を浴びていたが、仕留め損ない取り逃していた。

ピートは、賊からハシムを庇って胸を刺されて血塗れで倒れて絶命していた。

ハインツは、何をしていた?あの案内人達のリーダーを任される程の腕なら賊とやり合い1人捕らえる位出来たのでは?仮に取り逃したとして傷を負わせれたのでは?傷を負わせれたのであれば返り血のひとつくらいつきそうなものなのではないか?彼は何をしていた?いや、しなかったのか?では、先程の彼の塞ぎ込んで時折震えていたのは何なのか?はたしてハインツとは?あの時一体どうしていたのか?ふっとそれらを思い返してモモタウロスは、モヤモヤと疑問と言うのか何なのか分からない感情が湧いた。

暗い部屋の中、寝床で横になって天井を見つめながら、疲れているはずなのに眠気がこない、そんなモヤモヤを抱え、気が立ってイラつく夜だった。


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