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1.2章

2人が3年生の校舎に到着すると、さっそく注目の的となった。



- おはよう、アレックス!- 門の前にいた数人の女学生たちが、彼に気づいてどよめいた。



- アレックスってサッカー部のエース、生徒会長、学年1位なのよ。そしてなんといってもイケメン外国人!



- なんであんな優等生があんなやつとつるんで登校してるんだ?- その時、周りが優等生と - 緒に登校している影の薄い少年に気付くのにそう時間はかからなかった。



学生の90%が日本人の学校で、背が高く、肌が浅黒く、スポーツマンらしい体格のアレックスが注目されるのは驚くべきことではなかった。しかしその横にいる蓮もまた注目されるような人物であった。アレックスとは違いあまりよい意味ではなかったが、



- あんなオタクみたいなやつにも優しくしてるアレックスっていい人だよねー。



- あの子って、あの事件の子だよね?- と、グループの中の一人の女学生が声を出す。



- オタクっぽい...、ううん、あの悪い目つき...不良だわ...



- 顔以外にももっとタトゥーしてると思うわ。



- やだー!きっも!- と女学生たちは話し合っていた。



蓮は聡明な性格でありながら、学校行事への不参加、誤解されやすい性格、さらに派手な外見から、クラスメートから嫌われていた。その結果、彼はどんどん授業をサボるようになり、完全に堕落して、ついにはひきこもり生活を送るようになったのだった。

- こそこそ言ってないで直接言いに来いっての!- 蓮が軽蔑の眼差しを向ける一団に答えたところ、反撃を予想していなかった女学生たちは驚いた様子であった。


"ったく、なんてやつらだよ..."

人で歩いていると、蓮の浮かない表情ははっきりしていたおり投稿をするのをためらっているようで足取りは重たかったが、そんな蓮をアレックスは学校へ引っぱっていった。


- ちっ! ちょっとかわいいからって、何でも言っていいと思ってんだね」蓮は伸びをしながらつぶやいた。


- みんな、ひどいこと言うのやめろよ... - アレックスは周りの生徒を落ち着かせようとしたが、蓮に遮られた。


- ほっとけ。


- でも、こういう悪口とか噂って、お前がちゃんとが訂正しないと広まるんだよ。みんなに話して説明すれば......。


蓮は、視線や意地悪な発言の標的となる校門から背を向け、顎で行先を示すと、アレックスもそれに続いた。


- 何を説明するってんだよ?2年前、多くの人々の生活をぶち壊しにした大災害を引き起こしたのは実は僕なんですって言うの?それとも去年の事件で誰も救えなかったこと?世界有数の能力者の僕が、今やその能力も使わないで人助けもせず、ひきこもってるって!?- 蓮の脳裏に一瞬、金髪の少女の姿がちらついた。


- 蓮、お前はみんなを助けようと、できる限りのことをしたんだ。お前の努力には、きっと犠牲になった人たちも感謝してるよ…


- 死んだ奴は感謝なんてできないんだよ、アレックス。


人は過度に恐怖を抱かせるような凄惨な体験をしたとき、永続的にその恐怖に苦しめられる。他人が死ぬような状況から生還したことが一度や二度ではない蓮にとって、自分が今生きていることにも申し訳なさを感じることもあった。女学生の陰口を不快に感じたものの、ある意味それは自分への「罰」のようなものだとも感じていた。


- 友人として、こんな底辺にいるお前を見たくはないな... - アレックスの悲しそうな顔がいかに彼が蓮を大切に思っているか物語っていた。


- まあ、気にすんなって...素晴らしい親友の影に隠れて生きるってのも悪くはないさ。僕は静かに暮らしたいし、普通であることが一番だって思ってるよ。平凡で、普通がね... - 蓮は苦笑いを浮かべながら、友人の背中を軽く叩いた。


それでもアレックスは納得がいっていないようであったが、蓮を説得する間もなくベルが鳴り、二人は急いで教室に向かった。


- 起立... 礼...着席。


クラスの委員長の号令に、蓮も含めて全員が従った。蓮は日本人ではあったが、海外で育ったため日本にはたった2年しか住んでいなかった。そのため、彼はそういった儀礼的な堅苦しいことが嫌いだったが、注目を浴びないように決まりに従っていた。それが成功したことはほとんどなかったが。


- 着席してください。今日はクラス全員が出席していますね。- 白い帽子をかぶり、首から笛をぶら下げた体育会系の先生は、窓際の列の最後尾の席に蓮が座っているのを確認したようであった。


蓮とアレックスの教室は、東京高等学園の他の教室と同様、近代的な建物に非常に凝った装飾を施しており、アレックスの出身国ブラジルの最高学府でもあまり見かけないような最新の設備が整っていた。


- 今日は転校生が来ているので、お知らせします。入りなさい。


教室のドアから入ってきた少女が、ゆっくりと先生の机に向かって歩いていくのを見たとき、蓮は不思議となぜか少女のことを知っているような奇妙な感覚を覚えた。


- うっそぉ!!!


- 芸能人じゃん!?


ホワイトボードに「白雪美春(しらゆき みはる)」とマーカーで書きこまれると、クラス中、特に女子学生たちにさざめきが広がった。


- 美春さん、はじめまして!立花百合(たちばなゆり)です。雑誌の「Beauty Japan」で初めてあなたを見たときから、ずっとファンで...。あ、すみません、白雪さん...。- さっきまでの真面目な顔は消え去り、委員長は美春の登場による驚きで完全に冷静さを失っていた。


- うふ、お世辞でも嬉しい。- 転校生は委員長の言葉に応え、口元にそっと手を持っていき、笑みを隠した。上品なしぐさだった。


- 自己紹介させてください。私は白雪美春、まだ高校生ですが、ファッション雑誌のモデルとしてアルバイトをしていて、最近は女優としても活動しています......。仲良くしていただけると嬉しいです。


一つ一つの所作がとても上品で、転校生の見せる天使のような笑顔に、その場にいたすべての男子は息をのんだ。


- 蓮... おい - アレックスは、美春に魅了された様子の蓮に気づいた。


- え、ああ...。


- お前なんかおかしいぞ...まさか、転校生を知ってるのか?おい...!


特に、蓮の左目と同じ色のライトグレーの瞳で、控えめな様子で自分を見つめる転校生の美しさに、蓮はただただ戸惑っていた。白いリボンを左右対称に結んだ長い黒髪が、少し色白にさえ見える繊細な雪のような白い肌と相まって鮮やかなコントラストを見せていた。


"...何やってんだ、僕...!" 転校生を見つめるあまり、意識が飛んでいたことに気づいた蓮は、ただぼーっとしていただけと言わんばかりにごまかしの苦笑いを浮かべた。驚くべきことに転校生はこちらに笑顔で手を小さく振っていた。


- えっ、神城と知り合いなの!?- クラスの中から怒りの入り混じった声が飛んだ。


- もちろん、知っていますよ!私の彼氏なんです!


連は目眩に襲われた。引きこもりの蓮にとって、これまでに謎の美女転校生やクラスメートの怒号に対処した経験はなく、この状況は完全に自分が対応できる容量を超えていた。


"青春してるね..." その様子に体育教師は思った。


- さて、自己紹介はもうこの辺で。白雪さん、神城さんの向かいの席に座って。それじゃ、点呼をお願いします。


それは、数カ月ぶりに蓮に起こった不測の事態だった。これまでの様々な経験から蓮は、面倒な事態を極力避けるように気を使っていた。そんな事情もあり、その日の朝の出来事がいかに彼に負担をかけたかは想像に難くない。


外では雨が降っており、1限目はマルチスポーツコートでの屋内で授業となった。蓮がエネルギーを消費するような活動に参加するのは珍しいが、今回は朝、転校生が落とした衝撃的な出来事に気を取られ、授業に参加してしまっていた。


授業は、誰もが知っているドッジボールであった。言うまでもないが、ボールに当たらないことがこのゲームの肝である。しょっぱなから蓮はボールを当てられ外野送りとなり、さらに不幸なことに、「外野」にいたにもかかわらず、何度かボールを当てられた。


次の競技は、ミニ卓球選手権であった。アレックスや他の学生と戦うことになった。


- いいだろ、来いよ!卓球で負けるわけがない!


- だまれよ、神城!美人の彼女がいて、しかも芸能人とか......そんなの認めないぞぉ....。- クラスメートは最初は威圧的な口調で蓮に対し突っかったが、その言葉は途中から涙声に変わった。


卓球大会では、 蓮は一次予選も突破できず、アレックスが優勝した。



次の章に進みます...

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