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Act37:交易都市ベッジ

内容がうっすい。

もっと詰めねば。

 コボルトに襲われていた馬車の所有者、ジョミニ・ディース、彼の仲間モラノ・ベルシー、そしてジョーの娘のチェイン・ディース。

 静也達は3人を助けた後、レインの提案から火を焚いて交代で見張りをしながら夜を明かした。

 そして彼らと別れて旅を続けようとしたが、ジョーが助けられた礼をしたいとの事で、所詮宛のない旅路の静也達はなし崩し的に馬車に同乗することになった。

 話を聞くと、彼らの職業は探索者シーカーと呼ばれており、組合に登録して依頼を請け負ったり、文字通りに迷宮を探索する仕事をしているらしい。

 様々な場所を転々としながら一攫千金を夢見ているそうだ。


「しかし、俺達の救世主がまさかあの『虹の姫騎士(レインボウ)』とはな。いい土産話が出来たぜ」


 かっぽかっぽと馬車を操りながら、嬉しそうにジョーが声を掛ける。


「やっぱ有名だったんだな、あんた」


「っ、シージャ、人を誂うな」


 馬車の隅に座っていた赤月静也シージャ・アクツィークは、ジョーの言葉に納得したように頷いた。

 静也の見立て通り、元エルフ王家近衛騎士団長の名は、ゼブオードに知れ渡っているらしい。

 対するレインは居心地が悪そうに苦笑する。


「ジョー殿。わたしはそんなに囃し立てられる様な者ではありませんよ」


「いやいやぁ、同業の中でも有名中の有名だぜ?近衛騎士団長から一転、探索者を始めて一ヶ月でSランクに昇格した超新星、しかもこの100年はトップランカーから動いてないらしいじゃないか」


「なっ…」


 ジョーの言葉を聞いたレインの顔が固まった。


「………へぇ?」


 静也が面白いものを見たという顔でレインを見る。

 その視線にレインは恥ずかしそうに俯いた。

 どうやら彼女にとって探索者時代は知られたくない過去(黒歴史)らしい。


「む、昔の話です。いずれは後進に追いぬかれますよ」


「何言ってんだよ。ガイアマウンテンの竜王討伐、伝説の大盗賊団『黒の牙』壊滅。その他もろもろ、あんたが打ち立てた伝説を破れる奴なんか居やしねぇって」


 ジョーがレインの功績を口にする度、レインの顔が赤くなったり青くなったりと、静也の目に面白く映った。


「あんたも若気の至りって奴があったんだ」


「……シズ…シージャ」


 茶化されたレインは静也を睨むも、彼は涼しい顔でそれを受け流す。


「従者なのに知らなかったのかい?」


 そんな二人のやりとりをみたモラノは、レインの過去を知らない静也の発言に首を傾げながら言葉を投げた。


「ああ、俺は辺境の生まれでな。ちょっとした紆余曲折あってレイン様の側に居るんだよ」


 モラノの質問に対し、静也はペラペラと淀みなく経歴をでっち上げる。

 その様子をレインは呆れたように見つめていた。

 静也が偽名を名乗ったのにはレインも驚いたが、見張りを交代する合間に話をすると、情報を撹乱するならば自らの素性を誤魔化す必要があるそうな。

 名前を偽ることはレインが同行する以前から決めていたことであり、仮初めの素性は移動中に考えていたらしい。

 理由としては納得がいくが、自分にも前以て一言添えては貰えなかったかとレインは思うのだった。


『…………クァァ』


 馬車の屋根に陣取って見張りをするケル坊の欠伸が一つ。

 車内での会話が続く。


「辺境育ちって、獣人と一緒に暮らしてたの?」


 シージャという人間の話をしている静也に、チェインが質問した。

 その質問に静也は少し驚いた様に目を開く。


「………分かんの?」


「うん、口の動きが獣人語だったから」


 静也の言葉にチェインは頷いた。


「綺麗な発音だし、あたし達に偏見も無いし、良いところに住んでたのね」


「まあ、な。相当な田舎だったし」


 少々の罪悪感とともにチェインの言葉に頷く。

 彼らを騙すような真似は後ろめたくはあるが、『実際は異世界の生まれです』等と言う訳にもいかない。


「そう言えば、あんた達はどこに向かってるんだ?」


 なので無理矢理に話題を切り替えることにした。


「ああ、そう言えばお二人さんには教えてなかったな。これから俺達は仕事の拠点にしてる交易都市ベッジに戻る途中だったんだ」


「ほう、ベッジですか」


 ジョーの示した行き先を聞いてレインが眉を上げる。

 どうやら知っているらしい。


探索者シーカーの拠点、ということは……ジーナの?」


「おや、ジーナ様と知り合いでしたか」


 レインの言葉にジョーは肯定の意思を見せる。

 今のやりとりが気になった静也はレインに問うた。


「レイン様、なんか知ってんの?」


「ああ、交易都市ベッジ。人種を問わずに様々な種が交流と取引をしている、この国の貿易の要だよ」


 レインが静也の質問に答えた。


「さっきの話に出てきたジーナっての、あんたの知り合い?」


 続けざまに質問すると、彼女は再び頷く。


「ああ。………元、弟子だよ」







 それから数時間掛けてジョーが操る馬車は草原を進み、夕日を受けて赤く反射する石壁が見えてきた。


「見えたぜ!」


「あれが…」


 静也が前方の壁に目を凝らして言葉を吐くと、それをレインが引き継ぐ。


「交易都市ベッジ。領主ジーナ・ツェップが治める、城塞都市としての側面もある一大都市だ」


「………デッケェ」


 巨大な城壁に取り囲まれた巨大都市を見て、静也はため息とともに感想を漏らした。

※レイン先生は味方サイドで作中最強です。

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