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『あの日の「ここ」から』  作者: てぃな


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第五話 4人の給食


新しい場所に慣れるということは、誰かと仲良くなることだけじゃない。ま

「ここにいてもいいんだ」と思える瞬間が、少しずつ増えていくことなのかもしれない。


昨日決まった新しい班で、初めての給食の日だった。


「やっと給食だー!」

大和が机を運びながら嬉しそうに言う。


「大和は給食が好きすぎ。」

莉央が笑う。


「だって給食って大事じゃん!」

「何が?」

「一日の楽しみ!」


その会話を聞いて、私は思わず笑った。


いつものやり取り。

いつもの二人。

私たちは一年生の頃からずっと一緒だった。


莉央は明るくて、誰にでも優しい。

大和は元気で、いつも教室を笑わせている。

そして私は、そんな二人についていくことが多かった。


でも今日は。

一人増えている。


「神崎くん、ここ座って。」

莉央が自然に声をかける。


「うん。」

湊くんは小さくうなずいて、席についた。

まだ少しだけ緊張しているように見える。

周りを見たり。

みんなの様子を見たり。



「いただきます!」

大和の大きな声で、給食が始まった。


「今日のデザート最高!」

「まだ食べてないじゃん。」

莉央がすぐにつっこむ。


「見たらわかる!」

「わからないよ。」

いつもの会話。


私は笑いながらパンをちぎった。

ふと、湊くんを見る。


少し困ったような顔をしていたけれど、嫌そうではなかった。

むしろ。

少しだけ楽しそうだった。


「神崎くんってさ。」

大和が話しかける。

「前の学校でもサッカーしてたの?」


湊くんは少し考えてから答えた。

「うん。」


「やっぱり!」

大和は嬉しそうに笑った。


「俺もサッカー好き!」

「そうなんだ。」

「今日、昼休みやろうよ!」

「……うん。」

短い返事。


「柚は?」

莉央が私を見る。


「え?」

「昼休み何する?」

「私は……鬼ごっことか。」

「じゃあみんなでやろう!」

大和がすぐに言う。


「大和、勝手に決めないの。」

莉央が笑う。

でも、その場にいる誰も嫌な顔はしなかった。


湊くんも、小さく笑っていた。

その笑顔を見て思う。

最近まで知らなかった人


でも、少しずつ。

少しずつだけど。

この教室の中で、湊くんの場所ができていく。


そして私は。

その変化を、誰より近くで見ていたかった。

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