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『あの日の「ここ」から』  作者: てぃな


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第四話 班替え

あの頃の私は、「一緒」がこんなにうれしいことだなんて、知らなかった。


湊くんが転校してきて数日が経ったある日。


給食を食べ終わって、お昼休みが終わると、先生が教室の前に立った。


「みんな、明日から給食の班を変えまーす。」

「やったー!」

「えー、またぁ!」

教室が一気ににぎやかになる。


私は思わず後ろを振り返った。

湊くんは窓の外を見ていて、班替えなんて気にしていないようだった。


「じゃあ先生が決めるからね。」

黒板に班ごとの名前が書かれていく。


一班。

二班。

三班。


名前が一人ずつ増えていくたびに、胸がどきどきした。

(お願い……。)

(お願いだから……。)

自分でも何をお願いしているのかわからない。

でも心の中では、ずっと同じことを願っていた。


「三班。」


先生が名前を読む。


「莉央さん。」

「はーい!」

莉央が元気よく手を挙げる。


「柚さん。」

「……はい。」

思わず返事が小さくなる。

(あと二人。)


「神崎くん。」

後ろから、

「はい。」

静かな返事が聞こえた。

胸が、ぎゅっと鳴った。


(一緒だ。)

うれしい。

でも、その気持ちを誰にも見られたくなくて、私は急いで黒板を見た。


「あと一人は……大和くん。」

「よっしゃー!」


教室の真ん中で、大和が勢いよく立ち上がる。


「三班じゃーん!」

そのまま私たちの方へ走ってきた。



「よろしく!」

満面の笑顔。


私は思わず笑ってしまう。

「よろしく。」


莉央も笑う。

湊くんも、小さくうなずいた。

それが、四人の班の始まりだった。


「給食楽しみだね!」

大和はそう言うと、

「俺、おかわりする!」

と一人で盛り上がっている。


莉央が笑って、

「まだ。明日だよ。」

とつっこんだ。


私はそのやり取りを見ながら、ふと湊くんを見る。

少しだけ口元がゆるんでいた。

笑った。

ほんの少しだけ。


その小さな笑顔を見つけられたことが、なんだか自分だけの秘密みたいで、少しうれしかった。

明日の給食が、待ち遠しい。

そんなことを思ったのは、きっと初めてだった。


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