エピローグ いつもの場所
初恋は、いつか忘れるものだと思っていた。
でも忘れられない恋もある。
あの日から、何年か経った。
季節が変わって。
環境も変わって。
私たちの生活も少しずつ変化した。
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それでも。
変わらないものがある。
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「柚。」
名前を呼ばれる。
振り向くと。
そこには、昔から知っている人がいる。
十八年前。
転校してきた男の子。
一度離れて。
長い時間を越えて。
もう一度、好きになった人。
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「何?」
聞くと。
湊くんは少し笑う。
「いや。」
「呼んでみただけ。」
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昔も。
同じことがあった。
名前を呼ばれるだけで嬉しかった頃。
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でも今は違う。
あの頃のような、届かない初恋じゃない。
隣で笑ってくれる人。
これからの未来を一緒に考えられる人。
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「ねえ、湊くん。」
「ん?」
「小学生の時のこと、まだ覚えてる?」
湊くんは迷わず答える。
「覚えてるよ。」
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「でも。」
湊くんが笑う。
「一番大事なのは、今だと思う。」
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十八年前。
私はただ、小さな声で言った。
「……ここ。」
それだけだった。
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あの一言から始まった恋は。
長い時間を越えて。
今度はちゃんと言葉になった。
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初恋は、終わるものじゃない。
叶うまで、続くこともある。
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春風の中。
私は隣にいる人の手を握る。
十八年越しの初恋は。
今も私の隣で、未来へ続いている。




