表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『あの日の「ここ」から』  作者: てぃな


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
30/35

第三十話 変わったこと、変わらないこと

好きと言葉にしたからといって、何もかもが急に変わるわけじゃない。

でも、同じ時間でも少しだけ見え方が変わる。



付き合うことになってから。

私たちの関係は、少しだけ変わった。


……と思う。



「おはよう。」


朝、湊くんから届くメッセージ。


それだけ。


たった一言。


でも。

今までとは違う。


「恋人から届いた言葉」


そう思うだけで、少し嬉しくなる。



でも。

会えば、いつも通りだった。


仕事の話をする。

くだらないことで笑う。

昔の話をする。


変わらない。


だから時々、不思議になる。


本当に付き合ったんだよね?


って。



ある日。


二人で食事をしていた時。


湊くんが笑った。


「なんか変な感じ。」

「何が?」

「柚と付き合ってるって。」


思わず笑ってしまう。


「湊くんでもそう思うんだ。」

「思うよ。」


少し照れたように言う。


「ずっと近くにいたのに。」



その言葉に。


胸が温かくなる。


そうだった。


私たちは。

付き合う前から、お互いのことをたくさん知っていた。


好きになる前から。

大切だった。



「でも。」


湊くんが続ける。


「嬉しい。」

「え?」

「今まで友達だった時間も大事だけど。」


少し間を置いて。


「これからは、恋人として柚の隣にいられるから。」



顔が熱くなる。


昔だったら。

こんな言葉を聞いただけで、何も言えなくなっていたと思う。


でも今は。

少しだけ笑える。


「湊くんって、たまにすごいこと言うよね。」

「そう?」


本人は本当に分かっていない顔をする。



帰り道。


昔と同じように歩く。

並んで歩く距離。


話す内容。

笑うタイミング。


何も変わらない。


でも。

手が触れそうな距離にいることを意識してしまう。



「柚。」

「ん?」

「手、繋いでもいい?」


その一言に。


なぜか笑ってしまった。


「今さら?」

「今さらだから。」


湊くんも笑う。



小学生の頃。


隣を歩くだけで嬉しかった。

名前を呼ばれるだけで特別だった。


今は。

手を繋ぐことができる。


好きだと言える。



でも。

一番嬉しいのは。


昔から変わらない人が。

今も隣にいてくれることだった。



帰り道。


握った手の温かさを感じながら思う。


恋人になったから、幸せなんじゃない。


湊くんだったから。


この人だったから。


ここまで来られたんだと思った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ