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アイテムが欲しい、ただそれだけ  作者: 秋海棠


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月姫日記③

短めの他者視点です。ストーカー要素があるのでお嫌な方は読み飛ばしください。



大和10年1月1日


危うく彼女に接触しそうになってしまった。

今まで一度だって接触したことなんてなかったのに、参拝の時一瞬見失ってしまったらすぐ後ろに彼女がいたんだ。

こんなに近い距離に彼女の気配を感じることなど初めて。

でも、きっと彼女は気づいていない。あの日の一瞬しか会っていないんだ。見た目だって全く違う。後ろ姿だけで気づくはずなんてないんだ。

だけど、どこかで気づいて欲しいと思う気持ちが湧き出てきて、振り返りそうになったのを押し殺した。

後ろで友人と楽しそうに話している彼女の声を聞いたら振り向けなかった。

こんな陰険な男に好かれているなんて絶対知られてはいけないんだ。



大和11年1月1日


よくわからない現象が起き始めた。

いきなり変な声が頭の中で響いて、人類滅亡がどうのダンジョンがどうのと宣ってきた。

そんなことより彼女は大丈夫だろうかと部屋を観察していたら、荷物を持って部屋から出てきた彼女の顔はどこか無表情でいつもと違う。

変に思って跡をつけたけど、役所の近くにいつの間にかあった変な空間に入っていってしまった。

あれがさっき変な声が言っていたダンジョンかもしれないと思うのに時間はかからなかったから僕も入った。

ダンジョンに入るならクラスを選べと頭に響いて、もしかしたら怪我をするかもしれないダンジョン。彼女のために回復術士を選んだ。

でも入ったら彼女をいくら探しても見つけることができなくて、鬱陶しい魔物ばかり。クラスを選んだら杖が現れたから魔物は倒せた。

でも彼女に会えない。もしかしたらもう外に出てしまったのだろうかと一度ダンジョンを脱出した。

でも、どうやら彼女は家に帰っていないみたいだ。ならダンジョンからも出てきていないかもしれない。

明日もう一度ダンジョンに入って彼女を探そう。



大和12年1月1日


彼女の瞳に色が戻らないまま1年経った。

絶対『神の声』のせいだ。

今日も彼女はダンジョンに入り続けている。いつもならあの神社に参拝へ行くのに。

今も増え続ける彼女の動画をあいつに消してもらっているが追いつかない。

幸い顔は映っていないけど、彼女を特定するやつまで出てきた。

それもあいつに消してもらっているが終わりがないと嘆かれる。

でも、彼女がダンジョンに入るようになって居場所が掴めない日もあったから、動画で居場所を掴むことができたのも事実だ。

それよりも、三ヶ月前から彼女が中級ダンジョンに入り始めて怪我が増えた。

ダンジョンから出てくるたび怪我をしているから、遠くから回復魔法を飛ばしているけど、瞳に色が戻らない彼女はそれにも反応を示してくれない。

明日は声をかけてみようか、そうしたら彼女の瞳に色は戻るだろうか。



♢ ♢ ♢



大和10年1月2日


1日部屋でゴロゴロしていた彼女。

「正月太りするな」なんて独り言を言っていたのが可愛くて仕方がない。

いくら彼女が太ったって僕の気持ちは変わらない。

でも、毎年この言葉を聞いているような気はするし、それでも彼女は変わらない。

綺麗な天使のままだ。

歳を重ねて色っぽさまで兼ね備えて、色々な男に言い寄られているのに、もう見向きもしなくなった。

これまでの男たちが酷かったからもう恋愛はいいんだと友人に話していたが、僕が立候補をしてもいいだろうか?

やっぱりダメだろう。

こんな僕を知られたら彼女はきっと受け入れてくれない。

拒絶されたら無理だ、生きていけない。

やはり今まで通り遠くから彼女を見守ることしか僕にはできないんだ。



大和11年1月2日


彼女が出てこない。

僕もまたダンジョンに入ろうとしたけど、国が動き出してしまったから入れなかった。

でも彼女はダンジョンに入ったままだろう。

彼女の家も確認したがやはり帰ってきている形跡はない。

ダンジョンにいる彼女は飲み物や食料は持っていたのだろうか?

何やら荷物は持っていたけど、だいじょうぶだろうか?

心配でしょうがない。

あいつになんとかするように言ったから明日には入れるだろうか。

彼女が出てきた時のために飲み物と食料は準備しておこう、それと怪我などしていたら大変だ、回復魔法を鍛えよう。

どうか無事でいてほしい。



大和12年1月2日


結局今日も彼女はダンジョンから出てこず、昨日の僕の決意はなんの意味もなかった。

今度出てきたら話しかけてみよう。

そう言えば、去年の彼女は結局三日間出てこなかったけな。

しかも国がダンジョンを封鎖してしまってたから、出てきた彼女をみた自衛隊員が驚いて連れて行かれてしまった時は焦った。

あいつに頼んでなんとか尋問を受けずに出てこれて安心したものだ。

しかし、出てきた彼女はコンビニで買い物をしたらすぐダンジョンに入ろうとした。

自衛隊員に止められても無視して入ろうとして、また連れて行かれてあいつに頼んでを何度か繰り返した。

翌日には市民によるダンジョンを解放しろとデモが起き、隙をついて彼女はダンジョンに入って行った。

あれから三日おきくらいに彼女はダンジョンから出てくることがわかったけど、僕はそれを見ていることしかできなかった。

今もなおダンジョンに入り続けて無心でモンスターと戦う彼女を。

いつになったら彼女の瞳に色は戻るんだろう。





お読みくださりありがとうございます!

明日には本編更新できるよう頑張ります……

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