35.リフレッシュした
レベル50までに必要な経験値にやる気を削がれてしまい、下松中級ダンジョンを後にした。
退場手続き後、真っ先にやってきたのは焼肉食べ放題。
溜まったフラストレーションを食で満たすためだ。
カルビ、ロース、ハラミ、タン、ホルモン、とにかく肉を食べて、米を食べて、スープを飲んで、キムチを食べて、締めにカルビクッパ……お腹がはち切れそうなほど食べに食べた。
店員さんがびっくりするほどに。
無心で食べたからか、心は少しスッキリした。
気持ちの切り替えは大事だね。
ここへきてずっとダンジョン生活だったから少し休憩しようかな。
山口県に来たのは初めてだから、観光もしたい。
どこへ行こうか。
今日はビジネスホテルに泊まることにして、観光地を探そう。
♢ ♢ ♢
はあ、リフレッシュできた!
山口観光に三日程休日として時間をとって、大満足。
レンタカーを借りて、下松だけでなくいろいろなところを回った。
天気も味方してくれたのか晴天で、角島大橋から見えた海はとても青くて綺麗だった。
島に渡り、灯台に登ったり、島を一周したり。
有名な朱色の鳥居の神社に行ったり、白蛇が有名な神社に行ったり、御朱印なんて集めてなかったのに、御朱印帳を買って御朱印をいただいたり。
完全に観光客感丸出しで楽しんだ。
知らなかったが、調べたら温泉も有名だと出てきたので行ってみると、街並みはとてもレトロで風情があって、人も優しくて、控えめにいって最高であった。
のんびり最高な時間を味わったらやる気が出てきたのは、単純な思考回路だからだろう。
改めて下松中級ダンジョンに挑む前に、いくつか攻略したい初級ダンジョンを見つけていた。
この三日間は休みとして、ダンジョンには一切入っていない。
行った街々で入ればよかったのかもしれないが、ダンジョンアイテムの情報を調べるだけ。
もう休みだって思ったらダンジョンに入る気が起きなくて……
切り替えが大事だと言い聞かせ、観光地を満喫した。
別に同じ場所に二度行っては行けないなんてことはないんだからまた行けばいい。
急ぐ訳でもなし。
なぜこんなにも攻略を焦っていたのか不思議になったものだ。
いや、「トゥクトゥク車」が欲しかったから頑張ってレベル上げをしていたのはわかっているんだが、あまりにも必死すぎる自分は何を目指していたのか。
魔王でも倒す勢いでレベル上げしていたからこの息抜きはとてもよかったのだ。
焦る必要はない。
無理せず頑張ればいい、そう思い直せて少し心が楽になった。
そして、やってきたのは美祢第二初級ダンジョン。
ここではアイテム「イヤーカフ」が手に入る。
アイテムの詳細はゲットしてから調べるが、どうやらMPの回復効果を高めてくれるものらしい。
MPなんて言ってるけど、この間までその存在自体よくわかっていなかったのに、慣れたものだ。
スキルを使うとMPを消費する。
私は槍術士だから物理攻撃もスキル攻撃も両方使うからMP切れになったことはないが、MPが切れそうになるととても気持ちが悪くなるそうだ。
このダンジョンで手に入るアイテムは、MPを多く使用するクラスの人には必須アイテムだろう。
そんなMP切れを起こしたことない私だが、これは他にも欲しい理由があるのだ。
その理由は追々。
着替えてダンジョンへ入場すると、気持ちが切り替わる。
このダンジョンは洞窟型なのでマウンテンバイクの出番はない。
急足でセーフティエリアに行き、ボスボタン前に行くと、午前八時にもかかわらず待機者103人と表示されている。
そして、見ていればどんどん待機者が増えていく。
慌ててボタンを押した時には待機者111人になってしまった。
まあ、仕方ない、今日は土曜日だったことを今更思い出した。
ダンジョン挑戦をしていると曜日感覚がバグってしまう。
しかし、111人待ちとなると、何時間かかるだろうか?
一人大体五分から十分だとして……
まあそんな簡単な話ではないだろうから、14時間くらいは軽く待つだろう。
「テント」で休憩しよう。ダンジョンに入って早々休憩。
待ち人が多いからか【レンタル屋】も出ているが、この人はすでに誰かにチェックされていたみたいだから私は声をかけない。
【最下層ボス・ワーウルフヲ撃破シマシタ】
【美祢第二初級ダンジョン初回クリア報酬、銀トイヤーカフ(初)ヲ獲得シマシタ】
【美祢第二初級ダンジョン通常クリア報酬、マジックポーション(初)ヲ五本獲得シマシタ】
……長かった、待機時間が。
戦闘時間は五分もかかっていないだろう。
朝八時にボスボタンを押したのに、気づけば夜の11時前だ。
またすぐ脱出のアナウンスが流れて、急いでアイテムたちをしまう。
銀を買取してもらい、事前に調べておいた必要魔石を購入。
今日は時間も時間だから、IDC出張所の横にある24時間営業のスーパー銭湯内にあるカプセルホテルに泊まることにした。
カプセルホテルだと「テント」は出せないので、自分の寝床でアイテムを取り出す。
早速鑑定だ。
【イヤーカフ(初級)】
【着用時毎分MP総量の0.1%回復、三タイプ選択可、サイズ自動調整】
【必要魔石:火・水・土・風・光・闇 各(小)1点】
必要魔石が多いのが難点だが、この際良い。
私がこれを欲しがった理由は三タイプ選択可能とサイズ自動調整というところだ。
ピアスは開けていないので、必然的にイヤリングかイヤーカフをつけることが多かったが、ちょくちょく無くす。
サイズ自動調整ならきっと落ちないだろうし、それに加えて三タイプも選べるなんて、ゲットするしかないと思ってしまったのだ。
まあ、(初級)なので選べる種類はそこまで多くないけど、色、デザイン、素材感まで選択できるから、決定するまでにかなり時間がかかりそうだ。
服に合わせてシルバー、ゴールド、ピンクゴールドで色は選ぼうかな。
あとはデザイン……悩むなあ、オンにもオフにも合うようなデザインにしようと思うけど、そもそもオンの時っていつだ?
仕事してないじゃんとツッコミを入れたのは恥ずかしい限りだ。
仕事ってわけではないけど、今の職場と言えばここダンジョン。
この間のオークションの時だって久々のフォーマルな格好だった。
それ以外だとやはり結婚式ぐらい?
パーティーなんて何のパーティがあるんだ?ってくらい縁がないからね。
ならやはりシンプル一択か。
リングタイプ、ダブルタイプ、チェーンの先端にパールがついた揺れるタイプの三つに決めた。
これならちょっと外にお買い物の時にも、ダンジョン挑戦中にも使い分けられて良い選択なんではないか?
まあ、もう決定したから変更は不可なんだけどね。
これで「イヤーカフ」はゲットした。
次に欲しいのは萩第三初級ダンジョンの「フレグランス」だ。
一日おいて、萩第三初級ダンジョンへ。
ここも洞窟型のダンジョン。
今日は平日だからか、待機者は思っているほど多くない。
8人と表示されているので、「テント」は出さずにのんびりセーフティエリアで過ごす。
端の方でスマホをいじりながら、次に何のアイテムを獲得するか吟味する。
すでにアイテム「フレグランス」で必要な魔石は調べ済みだ。
そんなのんびりスマホいじりをしていると、私の前の待機者が二人になってしまった。
今日の進みは早い。
準備運動をしていると、いつもの如く音声がなり、落下を開始。
このダンジョンのボスモンスターはワイルドボア。
大きな体と大きな牙で突進してくるが、かわして首を狙って薙ぎ払い、あっさりと倒す。
戦闘にも慣れたものだ。
【最下層ボス・ワイルドボアヲ撃破シマシタ】
【萩第三初級ダンジョン初回クリア報酬、銀トフレグランス(初)ヲ獲得シマシタ】
【萩第三初級ダンジョン通常クリア報酬、ポーション(初)ヲ五本獲得シマシタ】
よし、よしこれで「フレグランス」もゲットだ。
今日はキャンプ場を予約しておいたので、「テント」を出して中で確認だ。
早速鑑定。
【フレグランス(初級)】
【初級ダンジョンモンスター除け効果、芳香自由】
【必要魔石:風・光・闇 各(小)1点】
アンティーク香水瓶みたいなバルブ付きの形のアイテム。
どうやらこのアイテムひと吹きで、一時間ほど初級のモンスターを寄せ付けない効果があるんだとか。これはIDC情報。
初級だから、初級ダンジョンのモンスターにしか効果はないが、中級でも意外や意外、一階層から三階層のモンスターにも効いている可能性があるとか。
正確な情報ではないそうだが、付けるとつけないとではモンスター遭遇率が違ったそうだ。
まあ、それは期待しないでおくとして、芳香自由のほうだ。
これは、自分の好きな匂いを選べるということ。
アロマ系でも、香水系でも良いみたいだ。
魔石投入口に一滴垂らすとモンスター除け用に、人体には影響がないよう調合されるとか。
IDCが人体に影響がないことは確認したらしい。
まあ、人類のやる気を上げるために『神の声』が与えているアイテムが影響あったら大変だよね。
「フレグランス」に使う香りは、昔、海外へ行って気に入って買ったマンダリンオレンジの香水に決めた。
現在香水は使っていなかったが、使うならこの匂いがいい。
柑橘系のとてもスッキリした匂いで好きなのだ。
なので、ネット通販で購入。
実家に届くように手配したから、帰ったら設定しよう。
観光もして、欲しいアイテムもゲットした。
気合いを入れ直して、下松中級ダンジョンでレベル上げ再開だ!
お読みくださりありがとうございます!




