34.しんどくなってきた
山口県でダンジョン挑戦を始めて5日。
ここへきて初級ダンジョンを三つ攻略した。
山口県で一番初めに攻略した下松第四初級ダンジョンでは「ゴミ箱(小)」のアイテムを獲得。
次に挑んだのは下松市の横に位置する光市の第二初級ダンジョン。
ここではアイテム「折りたたみ傘」を獲得した。
この「折りたたみ傘」もすごい性能。
コンパクトな折りたたみサイズであるのだが、使用者登録をして起動すると頭上20センチくらいのところに浮き上がり、自動で追尾してくれる仕様。手ぶらで雨の中を歩くことができるのだ。
しかも傘の色も選べる。獲得して鑑定をした時は飛び跳ねて喜んだ。
そのあとは下松市に戻り、下松第一初級ダンジョンを攻略。
ここで獲得したアイテムは「パジャマ」だ。
この「パジャマ」もすごい。
通気性や吸水性はもちろんで、睡眠時に快適な温度で寝られるように調整までできる。
しかも回復効果もあり、通常の睡眠よりもHPとMPの回復量が1.3倍とか。
短時間睡眠で回復できるアイテムは《挑戦者》にも、そうでない人にもありがたいものだ。
これを着て寝たら、次の日の朝のスッキリ具合が全然違った。
いつもある疲労感が軽減されているように感じて驚いたものだ。
そんな獲得したばかりの三つのアイテムを使用しながら、今は下松中級ダンジョンに挑戦中で、三階層を進んでいるところだ。
このダンジョンの攻略アイテムが「トゥクトゥク車」だからか、千葉県の中級ダンジョンよりも《挑戦者》数が多く感じる、平日なのに。
このダンジョンもフォールド型で、草原、山、森、池や海なんてフィールドも十三階層以降だと出てくるらしい。
そして、最下層のボスはサメ型のモンスター。
しかも戦うフィールドも海で、とても戦いづらい。
何も準備せず挑戦すれば、海に落ちてほぼ詰み。
ダイビングのフル装備だったり、サメ用の罠、持てる人は船を準備して挑んだりしているそうだが、海の中のモンスター攻略は容易ではない。
そもそも船なんてどうやって持ち込むんだと思ったら、車で牽引して運んでいるのをダンジョン入り口で見た。
車で入れるのかよと思ったけど、自転車やバイクに乗って移動している《挑戦者》を見ていいなと思ったのを思い出した。
でも、強制戦闘になって、モンスターにバイクを壊されている《挑戦者》を見ているからなんとも言えないなと思って未だ自転車を持ち込んではいない。
一階層のセーフティエリアまで船を持って行ければ、そのままボス戦にも挑める。
どうやってボス戦に船を持っていくのか、一階層のセーフティエリアで見ていたら、車と切り離し、船に触れた状態でボスボタンを押して共に落下していった。
残された車は、共に来ていた《挑戦者》が乗って、脱出すると言って出ていった。
一人では難しい攻略方法だなと思った次第だ。
船はIDCでも貸し出ししている。壊したら弁償だが。
私ももし挑戦する時になったら借りようとは思っているが、小さいものにするつもりだ。
小さめのやつであれば自分のアイテムボックスに入るのではと考えている。
初級のアイテムボックスの重量制限は一キログラム、中級は10キログラム、私の持っている上級は1,000キログラムだ。
小型の船なら入ると踏んでいる。
これなら一人で攻略は可能だろう。ただし、借りる船は免許不要のサイズまでに限るけど。
弱点も調査済みで、サメとほぼ一緒で、目と鼻、エラなんだとか。
どうやって攻略するかしっかり準備をしてからでないと、すぐライフを削られて終わりだろう。
まあ、まずはボスモンスターのことを考えるよりもレベル上げだ。
まだまだボスに挑めるレベルではないからね。
現在の三階層は森フィールド。
他の《挑戦者》の攻略方法を見ていたら、だいぶ時間がかかってしまった。
出てくるモンスターは青色のウルフ。
何体か倒しながら、今日の戦闘は終わりにしようとセーフティーエリアへ向かった。
この階層にも《挑戦者》は多くいるが、船や車を所持している人はいないから、普通にレベル上げなんだろう。
やはり、自転車だけでも購入しようと考えている。
もし、モンスターと戦闘になったとしても、私ならすぐアイテムボックスへ仕舞える。
というか、なぜ今までそれに思い至らなかったのだろう。
走って次の階層を目指すよりも断然速いだろう。
もちろん体力をつけたい人は走ったほうがいいと考えるかもしれないが、体力はだいぶある方だと思う。
よし、一度ダンジョンを出て自転車を購入しよう。
まだ三階層だから、脱出して一階層からやり直すなら速い方がいい。
アイテムで「コンパクト自転車」っていうのもあるらしいんだけど、それは結構人気だから売りに出されたらすぐ購入されてしまうとか。
それなら、いつか自分で手に入れよう。
思い立ったが吉日、「テント」をしまって、すぐ脱出。
一度着替えて退場手続きをし、その足で自転車販売店へ向かった。
……乗せられた、話し上手な店員さんに。
めちゃくちゃいいマウンテンバイクを購入してしまった。
確かにマウンテンバイクを買うつもりで販売店へ行った。
無知だった私は、店員さんに勧められるがままにあれもこれもとカスタマイズしたら、気づけばウン十万円くらいいってしまったのだ。
そんなに本格的なものを買うつもりはなかったのに……でも、流石だよ店員さん、大満足です。
高いけれど買ったならば大事に使う。
モンスターに壊されないようにすぐアイテムボックスへしまおう。
これで、階層を進む足をゲットだ。
マウンテンバイクを購入してからの進みは段違いだった。
進む進む。
マウンテンバイクに取り付けたスマホスタンドのおかげでいつも通りマップを頼りに進めるし、スピードは何倍だろう。
ちゃんと草原フィールドや視界を確保できる場所だけで乗るし、スピードも出しすぎないように徹底している。
一応、戦闘している人たちはシールドが張られるからそこへ激突することはないんだけど、普通に歩いて移動している人たちは別だ。
人に当たったりしたら大変だからね、ちゃんと慎重に運転します。
マウンテンバイクのおかげで、一階層から十階層までは二時間くらいで来れるようになった。
今更だが、もっと早く購入しておけばよかった……
十階層へ来るまでにも何度かモンスターとの戦闘になったけど、その度すぐにアイテムボックスへマウンテンバイクをしまえたので、無傷である。
買った当日に壊れたなんて泣くしかないからね。
そして十一階層以降はマウンテンバイクはお休みしてもらうことに。
ここからはレベル上げに集中をする。
二日挑んで一日休みを繰り返す。
食料が少なくなったら買い出しに脱出し、買い出しして戻ってまたマウンテンバイクで十階層までを走り抜け、十一階層からレベル上げ。
こんな生活を四週間続けた。
もう六月半ばである。
気づけばレベル46まで上げることができたが、レベル50が遠い。
四週間頑張ってやっと一レベルアップ。
どんどん要求される経験値が膨大になっていき、IDCのHPで調べた今のレベルからレベル50までに必要な経験値は約三千万だ。え、ちょっと凹む。調べなければよかったと後悔した。
中級ダンジョンで稼ぐには途方もない日数頑張らねばならない。
だから、記憶のない私は上級ダンジョンに挑んでいたのか? わからない。
ちょっとレベル50までに必要な経験値を見てまた萎えてしまったので、一旦新しいアイテムを手に入れるため、初級ダンジョンに挑もうと下松中級ダンジョンを後にした。
モチベーションを回復するためには、新しいアイテムを補充させて欲しい。
お読みくださりありがとうございます!




