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アイテムが欲しい、ただそれだけ  作者: 秋海棠


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30.髪も切った


 休日とした翌日以降、思った以上に体が疲れてしまっていて、二日ダンジョンに挑戦、一日休みというスケジュールに変更して挑んだ。

 挑戦した日は一日二百体以上を倒すということを目標に。


 

 頑張った。中級ダンジョンはやはり苦戦するモンスターが多い。

 十一階層以降にも挑戦していったが、一番苦戦したのが、十三階層で初めて出会ったアンデッド系モンスターのゾンビであった。

 完全に元人であることがわかるフォルムは忌避感でしかなったし、臭いもひどかった。

 なんとか匂いはマスクをして対処したけど、モンスターと分かっていても人を倒すのはためらいがあった。

 なので、急いで十四階層へ。

 しかし次の階層は骨の人型モンスター、所謂スケルトンだった。

 何故だろう、骨になるとなんとも思わなくて、むしろ倒しやすかった。

 骨だけだとモンスター感が強いからだろうか?骨格標本的な?

 それなら人体模型も一緒だけど、何が違うのかわからないが骨になると大丈夫というよくわからない心理。

 剣と盾を使って襲いかかってきたけど、動きが読みやすく首を落とせば倒せたので倒しやすかった。

 一階〜十階の階層で出てもおかしくないほど倒しやすかったのは、何かの救済処置なのだろうか?

 何も考えず倒せていけたので、この階層でしばらくモンスターを倒し続けた。

 

 そろそろ食料の残りもあやしくなってきたことと、もうすぐオークションの日が近づいてきたのでこのダンジョンを脱出する事にした。

 弟と別れてから稼いだ経験値はなんと150万近くになる。そろそろ次のレベルが見えてきた。

 でも、一日二百体目標が達成できない日もあったので、レベルアップまでにはもう少しかかりそうだ。

 最後、この中級ダンジョンのボスにも挑んでみようかとも思ったが、慢心はいけないとやめて、脱出した。

 「コンパクトウォーターサーバー」はまた今度のお預けだ。


♢ ♢ ♢


「ただいまー」


「おかえり、今回は長かったわね」


「うん、だいぶ頑張った」


 午前中に実家に帰ってきた。

 父はやはり日課の散歩に出掛けているようだ。

 よっちゃんちのおじさんとも仲がいいから、この間の事故とかの話や相談にも乗っていると母が言っていた。


「お疲れさま。次はオークションって言ってたかしら?」


「そう、明後日だから帰ってきた。お母さんは行かないよね?」


「……ええ、行ってみたい気はしたんだけど、心臓に悪そうで。結果だけ教えてちょうだい。結果も心臓に悪そうだけれどもね」


 オークションはIDC日本支社の本部で行われる。

 レベルの高い《挑戦者》なども呼び、警備は厳重にして行われるそうだ。

 そして、全世界に中継され、オンライン、電話での落札も可能だとか。


「今日はフォーマルな服がないから買いに行ってくるわ」


 ないわけではないのだが、新調したくなったというだけのこと。

 そして、合わせて髪も切る事にした。

 今まで結局長いままであった。

 今日は美容の日としよう。

 長い事ダンジョンに篭っていたから気分転換もしたかったし、その他買い出しもしたかった。

 家でポータブル電源の充電をさせてもらって、私は家を出た。



 やっちまった。

 買いすぎてしまった。

 服を買い出したら止まらなくなって、あれもこれも。

 化粧品とかにまで手を出し、必要はそれほどないアクセサリーまで。

 しかし、必要なものもちゃんと買っている。

 サバゲーで使うような戦闘に向いた服もそのうちの一つだ。

 これを着ている《挑戦者》は結構多かったから欲しいとも思っていたし、”無姫”との差別化もできる。

 でもこれ、結構上下で揃えるといい値段がした。

 そんなこんなで洋服・服飾だけで何十万かの出費。

 ちょっとタガが外れてしまったが必要経費、必要経費と言い聞かせた。


 そして髪も切ってさっぱり。

 思い切ってショートカットにし、髪色も明るめの茶色に変更。

 長かった髪がなくなり、頭がとても軽い。

 今まで直接的に”無姫”と問われたことはないけども、これでだいぶ印象が変わるだろう。

 

 家に帰ると、母に「だいぶ変わったわね」と言われたので、髪を切った甲斐があった。



 そして、迎えたオークション当日。

 IDCには開始時間の13時より前の10時に入った。

 しっかりフォーマルな装いに着替え、化粧もバッチリ。

 弟もいつもよりピシッとしていて、清潔感がある。

 顔面も整っているからか、周りからの視線は痛い。


「……お待たせ致しました。初めまして、月姫さんの担当をしております森田と申します」


 心なしか森田さんが弟と対面して一歩下がったように見えたが、しっかり挨拶をしてくれた。


「初めまして、月姫の弟の陽太と申します。本日はよろしくお願いします」


 そして、弟は笑顔の外面全開で挨拶をしている。

 また一歩森田さんが下がった気がしたのは気のせいかな?

 もしや、弟のようなタイプが嫌いか?


「森田さん今日はよろしくお願いします。(弟連れてこない方がよかったですか?)」


 弟に聞こえないよう、ぼそっと聞いてみたら「いいえ、そのようなことは……」となんだか濁していたが、とりあえず大丈夫という事だった。

 

 本来は昨日までが事前展示だったらしいんだが、特別に事前に出品される商品を見せてもらえる事になったので、開始時間よりも前に会場入りした。

 

 案内された場所には、美術品の絵画や彫刻、宝石などが飾られていて、それを一つずつ取り外している最中だった。

 その中に一際輝いたショーケースが中央にある。

 私のミスリルだった。


「うわっ、本物は輝きが違うね」


 弟が、少し声を抑えて言ってきた。

 確かに他の宝石類と比べて輝きが違うように見えるが、なんの違いなのかはよくわからない。

 茨城上級ダンジョンのIDCで見た時よりも輝いて見えるのは照明のおかげだろう。

 すごく高く見えるように演出されている。

 いや、実際すごく高くなるんだろうけど、これが私のものだという実感は皆無だ。


「うん、すごく綺麗だけど、ちょっと怖くなってきた」

 

「今回は上級ポーションと上級マジックポーションも各一本出品されます。そちらにも目は行くでしょうが、ミスリルは皆様が注目されるでしょうね」


 私たちの斜め後ろに控えてボソッと言った森田さん。

 そうですよね、メインですもんね。

 

 そんな話をしている中、一番奥に場違いなものを発見した。

 ベッドだ。


「これは?」


 と、森田さんに聞いてみたら、大分県の中級ダンジョンが初めて攻略されて、その通常クリアアイテムであるらしい。それが今回売りに出された。

 その名も「折りたたみ式ベッド」。

 初めて攻略されたダンジョンのアイテムはこのようにオークションに掛けられるらしい。

 それで相場を決めるとか?

 この「折りたたみ式ベッド」はその名の通り、折りたためる。

 しかし、みた感じ普通の木枠ベッドなのにどうやって折り畳まれるのかというと、それも脇についたボタンで自動で折り畳まれるらしい。

 そのサイズは通常のリュックぐらいのサイズまで小さくなるようだ。

 マットレスや枕、掛け布団なんかも一緒に折り畳まれる仕様だから、内部空間が拡張でもされているのだろう。

 サイズもシングルからダブルまで選べて、ベッドの角度なんかも変えられる。

 今はもう一度使用されたのかダブルサイズの固定になってしまっているが、エアベッドみたいで、寝心地も最高らしい。


 めっちゃ欲しい。

 でも、この間クイーンサイズのいいベッドを買ったばかりだ。

 もっと早くに知りたかった……どうしよう、競りに参加しようか……



お読みくださりありがとうございます。

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