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アイテムが欲しい、ただそれだけ  作者: 秋海棠


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32/37

31.落札された

短めです。


 アイテムの「折りたたみ式ベッド」に引かれながらも「そろそろです」と森田さんに促され展示室を後にした。


「俺もあのベッド欲しいな」


「やっぱ?」


 これは争奪戦になるに決まっている。

 IDCはネット通販的なことは行なっていないので、IDCの各出張所に行くしかアイテムの購入はできない。

 しかし今回は公開オークションで、ネットの入札も可能だ。高額落札されることは必然的ではないだろうか?

 基本的にアイテムの売買はIDCを通す事になっており、個人間では容認されていない。

 過去にそれで色々転売だ偽物だなんだと問題が多発して、そのように決まったらしい。

 今回出品された「折りたたみ式ベッド」は他の国でもまだ出ていなかった代物らしいので、オークションに掛けられる事になったと森田さんが言っていた。

 アイテムは各国で被ることがもちろんあるので、未発見のアイテムはどの国も興味津々らしい。自国でも出る可能性があるからね。

 これ、上級アイテムなんて出したらやはり大変な事になるんだろうなと改めて思った。

 まあ、絶対私の「テント」は出したりしないけどね。

 でも、そうなると他の上級を攻略した人のアイテムが気になってしょうがないが、それぞれ出品も情報もないから調べようもない。

 森田さんに聞いたら教えてくれるのだろうか?


「あの、森田さんひとつ聞いていいですか?」


 歩きながら聞いてみる。


「はい、なんでしょう?」


「他の上級ダンジョンを攻略した人の獲得したアイテムってやはり非公開なんですか?」


「そうですね、月姫さん同様買取に出した方はいらっしゃいませんから。現在世界に一つとなると事件に巻き込まれてしまう可能性すらありますからね。危険を加味して公表は控えております。どのアイテムも性能が桁違いですから」


「そ、そうですよね……」


 「教えてもらうことなんて……?」って聞いてみたが、笑顔で流されてしまった。

 そりゃそうか……そもそもアイテム自体が初級でも中級でも高性能なのに、私の「テント(上)」はもっと上だ。他のアイテムだって同等以上の性能であることは明白。

 それこそ公表したらミスリルのように強奪しようとする人たちが出てきてもおかしくない。

 狙われるのは嫌だ。

 逆に公表して、上級ダンジョンへ挑戦する人を増やさないの?とも思ったけど、上級ダンジョンを攻略したって人が出てきた時点で増えているからいいのかもしれない。

 むしろ私は公表しないでくれてありがたい派だが、他の人の獲得したアイテムのことは気になるというわがまま。

 

「いつか売りに出された際にはミスリル並みの競り合いになるでしょうね」


 こ、怖い。

 私のは売りに出す気はないぞ!

 

 そんな話をしながら、オークション会場に着く。

 広めの会場で、椅子が所狭しと並べられている。

 正面には一段高くなった壇上があり、オークショニアの台みたいなのもある。

 会場の両脇はひな壇みたいな感じになっていて、オンラインと電話入札の人の席らしい。

 オークション会場なんて入ったことないけど、なんとなくこんな感じなんだろうなって会場だ。

 私たちは右端の予約席と書かれた席に案内された。


 12時になると開場し、人がどんどん入ってくる。

 

 いや本当、どんどん人が入ってくる、とめど無い。

 あっという間に会場は満席。

 皆、番号札のようなものを持っている。

 それを見ていたら、森田さんから私たちの分の番号札も渡された。

 持ったことの無い番号札を持ち、ちょっとワクワクしてきている自分がいる。

 隣を見たら弟もなんだか嬉しそうに番号札を見ていた。


 そして、とうとう開始時間となる。

 会場は薄暗くなり、壇上に照明が集まる。

 オークショニアの挨拶が始まり、オークション開始となった。


 まずはいくつかの美術品が紹介され、どんどん落札されていく。

 私の知らないアーティストの作品もあれば、名高いアーティストの作品まで次から次へ。

 ついていくのでやっとだ。

 しかし、落札額が結構高い。

 何十万もあれば何千万で落札されたものも。

 次に宝飾品。

 宝飾品に至っては一億五千万で落札されたものもあった。

 なんかすごいでっかい宝石のついた指輪とか、宝石がたくさんついたネックレスとか……すごい世界だ。

 私には必要のない代物だったので美術品、宝飾品は札を上げることはなかった。

 見ているだけでお腹いっぱいでした。


 休憩を挟み、次からアイテムが紹介されますと森田さんから言われた。

 1番初めはあの「折りたたみ式ベッド」。

 美術品や宝飾品と同様、事細かに説明され、千ドルから開始した。


「1,100」

「1,200」

「1,500!」

「1,550!」

「2,000!」

「2,500!」

.

.

.

「4,250!」

 ……どんどん上がっていく。

 あっという間に五千ドルまでいきそうだ。

 弟も一度番号札をあげていたが、あっさり抜かされもう上げることはなさそうな雰囲気。

 

 カンとハンマーが叩かれ、落札額が決まった。5,150ドル。

 円換算はしないでおこう。

 きっと「タワーファン」より高いから。


 続いて上級ポーション。

 少し会場内がざわつき始める。

 開始価格はなんと、8万ドルから。それでもどんどん値はつりあがっていく。


「11万5千!」

「12万!」

.

.

.

「15万2千5百!」

.

.

.

 ハンマーが叩かれた最終的な落札額は、なんと16万7千5百ドルだった。

 上級ポーション一つで……すごい世界だ。

 私も後4本あるから最悪何かあったらなんて思ってしまった。いけない、いけない。大事に使わねば。


 続いては上級マジックポーション。

 開始価格は5万ドルから。


「5万5千」

.

.

.

「7万8千!」


 開始価格が上級ポーションより低い。

 市場では上級ポーションより価値が低いってこと?

 で、ハンマープライスは8万千2百ドルであった。

 10万ドルいかないんだと何となく納得いかなかったけど、しょうがない。

 ましてや自分は番号札すら上げていないんだから、何も言う権利はないだろう。

 マジックポーションは魔力回復薬だから確かにダンジョンへ入らない人には必要ないものかもしれないが、上級、ましてやこれから特級ダンジョンへ挑もうとするなら確実に必要だと言えるポーションだ。

 もうちょっと上がって欲しかったなと何となく思ってしまった。



 そしていよいよやってきました、わたしのミスリルの番。

 やけにキラキラ、ギラギラした照明なのは気のせいかな?

 オークショニアの説明にも熱が入っているのは気のせいじゃなさそうだ。

 煽りに煽っている。

 ちょっと口元が引き攣りそうなほどに。

 開始価格はなんと150万ドルから。


 うん、知ってた。そのくらいからとは聞いてた、でも……


「250万!」

「275万」

「280万!」

.

.

.

「315万!」


 オンライン席からも何度も札が上がる。


 「おぇ」と落札額がどんどん上がって行くのを聞いて、またいつかの嘔吐きが再燃してしまった。

 となりの弟も青くなりながら、背中を摩ってくれる。

 


 カンとハンマーの音がなった時の額……


「405万ドル!」


 番号札を放り投げ、口を押さえて、トイレに駆け込んだ。




お読みくださりありがとうございます!


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