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アイテムが欲しい、ただそれだけ  作者: 秋海棠


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27.出会った!

短めです。


 結局あの後、犯人はすぐ自首して来たとよっちゃんから連絡があった。

 ボーッと運転していて、赤信号に気づかなかったと言っているらしい。

 怖くなって逃げたと……電話をくれたよっちゃんは何も悪くないのに、ふざけるな!と大声で叫んでしまったのは申し訳なかった。

 テレビのニュースでも報道されているが同じような内容だ。

 ただ、被害者二人の名前は伏せられており、小学生二人、意識はあると報道されていた。



 平ちゃんとこなっちゃんの検査の結果は良好で、次の日には退院できていた。

 何度もよっちゃんから感謝されているが、多分感謝だけでは気持ちが収まらないだろうよっちゃんの気持ちもわかるから、今度何かご馳走をしてもらう事にした。

 そうだ行ってみたいと思っていた、あの有名な高級ステーキ屋さんなんてどうだろう。

 結構な額いくだろうし、よっちゃんも食べれるし良いじゃん。

 それを言ったら、速攻でOKと返って来た。

 何か返したいという気持ちは痛いほどわかる。

 私は今回それが返せたと思っているから嬉しいのに、逆によっちゃんに重荷を負わせてしまっただろうか?

 気が済むまで奢ってもらうのはアリかな? ナシか。



 ♢ ♢ ♢


 色々あった翌週の土日。

 気持ちを入れ替えて中級ダンジョンに挑む日がやってきた。弟同伴で。

 今回のダンジョンは弟がいつも行っているという市川市中級ダンジョンへとやってきた。

 慣れた場所のほうがいいと言う弟の要望だ。

 このダンジョンも既に他の《挑戦者》によって攻略されているので、クリア時の報酬は判明している。

 初回クリア報酬はアイテムが「コンパクトウォーターサーバー」と金の延棒(500g)、通常クリア報酬がマジックポーション(中)五本だそうだ。

 「コンパクトウォーターサーバー」気になる……どうやら手のひらサイズまで小さくなる持ち運びできるウォーターサーバーで、冷水・温水はもちろん、水温調整機能も付いているらしい。

 ダンジョン挑戦以外にもとても重宝されるアイテムではないか!

 どこでも水が飲めるし、暖かいお茶も淹れられる……ゲットするしかないが、まだ中級を攻略できるほどのレベルではない。

 このダンジョンで頑張ってレベル上げだ。



 まずは、一階層から。

 しっかり、IDC所属者専用アプリを起動する。

 弟が羨ましげな目を向けて来たが、スルーしておいた。


 ここのダンジョンは洞窟型で、初めに来たことのあるダンジョンと同じような作りだ。

 出てくるモンスターは蜘蛛型モンスター。

 大きさは通常蜘蛛の比ではないが。

 ウミガメぐらいの大きさはあるだろう。

 糸を吐き動きを止め、鋭い爪と牙で攻撃してくると情報を得ている。

 情報を得ていれば対処しやすい。

 糸を吐く前の動作もわかりやすく、避けられる。

 体の表面は硬いが、たくさんついた目や頭が弱点。

 狙って連撃スキル五月雨を使う。

 そうすると意外に何とかなった。

 何だか弟の目線がより羨ましげに見えるのは気のせいだろう。

 そんな弟も慣れているからか危なげなく倒して行く。

 

 中級ダンジョンは、一階層モンスターの経験値が一体につき100。

 初級の10階層と同じ経験値。それよりも強く感じるのは中級だからか。

 そして、遭遇する数も増えたような気がする。

 入場して一時間経たないくらいだが、既に八体は倒した。

 蜘蛛だからか?とも思ったが、初級は《挑戦者》が多くいたから遭遇数が少なく感じたのかもしれないと思い直す。

 土日だから、平日よりも人は多いと弟は言うが、初級とは比べるまでもなく少ない。


 アプリを見ながら進み、ようやく二階層。

 

「戦闘しっぱなしだから、少し休まない?」


「そうしようか。いつもよりモンスターに遭遇する頻度が高い気がするな」


「ええ……なんで今日に限って?」


「わからないけど、経験値稼げていいじゃん。疲れるけど」


 そう愚痴をこぼしながらセーフティエリアに着く。

 やけに人が多い。そして皆さん疲れてらっしゃる感じがする。

 そこかしこで、「モンスター多くない?」とか、「湧いてる?」など同じことを思っている人が多そうだ。

 【レンタル屋】も大盛況そうだ。

 ちょっと疲れたからIDCに申請しているのかの確認は後で良いだろう。


 空いている端の方に行き「テント」を出す。

 もちろん貼り紙は忘れない。

 弟にどうしたの?と聞かれて、この前学生に教えてもらったんだと言い、【レンタル屋】を私が知らなかった事を今知った弟。

 あの時は大変だったんだと言えば、伝えてなかった事を謝られた。

 弟が悪いわけでもないのに責めてしまったが、むしろ知らない私の方が情報収集不足である……今攻めた事を素直に謝っておいた。


 暫く「テント」で休憩していると、スマホに通知が来た。

 ダンジョンショップ出現のお知らせだ。

 なんと、この今入っている中級ダンジョンに出現していると書いてあるではないか!


「陽太! ダンジョン内ショップ!!」


「えっ!?」


「ここのダンジョンに出てるっぽい!」


「ヤバいじゃん、俺も初めて!探そう!」


 と言って「テント」の外に出れば、セーフティエリアのど真ん中にギラギラした【SHOP】と書かれた屋台が出ていて、そこに長蛇の列ができていた。


「って、ここ!? うわぁー!生で初めてみた!」


「あ、あれが……凄いね」


 なんか思ってたんと違った。もっと質素なんだと思ってたけど、祭りっぽい雰囲気醸してます。

 私が見てたSNSは商品のアップばかりだったかもと今更。


 既に20人近く並んでるから急いで弟と列の最後尾へ。

 何があるのかワクワクだ。

 だが、進みが遅い。経験値で支払うから皆吟味してるのだろうか。

 

 ……一時間半近く待って、ようやく私たちの番になった。

 そこには色とりどりな小瓶と、アイテムの数々が所狭しと並べられていた。

 これは時間がかかるわと納得だ。

 そして、屋台の中には人型のロボット。それも昔の映画やドラマで見るような近未来的なやつだ。

 『神の声』の基準がよくわからない。


 人型ロボットに唖然としてたら弟から後ろがつかえちゃうよと声をかけられる。

 弟は人型ロボットにエリクサーなるものの話を聞いてたが、それは無いと抑揚のない声で言われていた。

 

 私は私で所狭しと置かれたアイテムが気になって見てみると、「コンパクトウォーターサーバー」や「コンパクト冷蔵庫」、「テント(中)」、「スピーカー」、「ボトムス」などなど、知ってるものから知らないものまで。

 詳しく見たいけどそんな時間もなさそうだ。

 しかし、アイテムを見ていて気づく。

 アイテムの下にある値札らしきもの。

 それぞれに書かれている桁がおかしい。

 初級ポーションとかは一、二万程度だがアイテムになると……平気で五十万を超えていく。

 それを経験値で支払うだと?

 無理だ。累計経験値はあるとしてもそれだけレベルが下がると思うと、勝手に上がっていたレベルだけども、勿体無くてしょうがない。

 

 結局欲しいものは沢山あったのに、レベルを上げたい弟と私は何も買わずにその場を去った。

 後ろ髪を引かれる思いで。

 写真だけは残しておいた。

 

 

お読みくださりありがとうございます!

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