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我ら救世傭兵団!  作者: zionPoP
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ちゃんとした偽造パスポート

 今日も今日とて海上を進む俺は、ここらで一度、自由国家連合に着いてからのことを考えようと思い、ウィン、アンズ、ルマンとイバンを船倉に集めることにした。

 本当は食堂が良かったが、常にディーがいるから諦めた。あいつがいると話がややこしくなる。




「――しゃちょ。それとんでもない。今のままだととてもじゃないけどウールに入国できないよ」


「マジかよ……」


 俺たちの状況を聞いたアンズが、眼鏡の縁を持ち上げる。

 金も入り、補給も十分。さあ、一路、自由国家連合ウールに出発、と思った矢先にこれである。


「まず入国審査前に、この船の船籍でアウトの可能性大よ。もし入国審査受けられてもパスポートないは話にならないネ」


「すまない、アンズ。その船籍やパスポートというのは一体どういうものなんだい?」


 ウィンの質問に、アンズは「あいやーっ!」と天を仰ぎ見る。


「ニーム人ここまで世間知らず思わなかたよ……船持つとき船には船籍付ける。これ国際法で決まってるよ。船籍見れば、その船誰所有してるか一目瞭然。つまり、この船の船籍調べたらパームカンパニーの船てすぐバレる」


「なるほど。船にはそういうものが付与されているんだね」


「そう。簡単言うとパスポートそれの人間版みたいもの。パスポート見たらその人間どこの国の誰かすぐわかる」


 どうやら、世の中は俺たちが思ってた以上にややこしいらしい。


「…………ってかよ、ルマン! てめえらこういうこと知らなかったのかよ?」


「えっ、ああ、もちろん知ってたさ……でも、今回もきっとあんたたちの計画があるんだろうなって」


「一緒にウール行く決まてたらパスポートあるなし確認すべきよ」


「ちょっ、私らだよ? ちょっと前まではしがない街のギャングだったんだから! だいたいパスポートなんて偽造しか使ったことないし!」


 知ってんなら早く言えよと言いたいところを、ぐっと我慢する。俺の心は海のように広いのだ。


「姉さん……俺は正規の持ってるぜ」


「「「「えっ!!」」」」


「言ったじゃねえか、俺は傭兵団で働いてたって。傭兵は表向きは一般企業だ。当然、面接もあれば、身元の確認もされる。海外に派遣されるときは当然パスポートも必要になる」


「……なんか、すごい裏切られた気分だよ……」


 一番見た目が怪しいイバンが、まさか一番まともだったとは……。


「ウィンたちも、元特殊部隊員だったんだろ? 外国に行くときはどーしてたんだ?」


「僕らは基本部隊単位での行動だったからね。少数で他国に潜入するにしろ、事前にルートが確保されていたから、入国審査だとかは受けた記憶がない」


 そうだ。俺たちは船でびゅーっと送られて輸送車でぶおーっと運ばれて、さあ戦えってな感じがほとんどだった。


「戦争なったらそんなもの。外交ないから戦争してる。入国審査あったらそれ喜劇ネ」


「あーっ! もう、めんどくせーな! でっかい国なんだったら人目のねえ上陸地点くらいあんだろ。そっから入国しちまえばいいじゃねえか」


「そんなことしたらウールでも逃亡者になっちまうぜ」


 イバンが心底呆れた顔で俺を見てくる。


「しゃちょはウールで会社起業したいでしょ? そもそもちゃんとした身分保証ないと起業なんて不可能ネ」


 おいおい、マジかよ……詰んじまってんじゃねーのか?


「つまり、私らはこの船乗り換えて、パスポートを作らなきゃ未来はないってことだよ」


 動揺する俺にルマンが上から目線で腹が立つ。


「まあとは言っても、ちゃんとした偽造パスポートを一から作るってなるとかなり時間かかるよ。ここらには私の知り合いの業者もいないし」


 なんだよ、ちゃんとした偽造パスポートって……。


「問題ない。私の知ってる業者にそういう仕事上手なのいてる。身分丸ごと買うも大丈夫」


「おう、なら話は早えーな。そんじゃそーしたらいいじゃねえか」


「で、この船はそこで捨てて、僕らは一般の船でウール入国するってことだね?」


「そゆことネ。だから次の目的地はコットン西部の港ピマに変更するよろし」


 てなわけで、俺たちはちゃんとした偽造パスポートを作りに、また寄り道することになった。

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