新入社員2
俺の言葉にしゅんっと項垂れる眼鏡女。
ボディラインの出ないスーツだが、俺の見立てでは、その下に相当エロい体が隠れているであろう点は素直に評価したい。ついでに、黒髪、黒目っていうのもエスニックな感じがして大変よろしい。さらに、眼鏡外して、野暮ったい髪型をどうにかすればいい女になるっぽいところが、宝石の原石っぽくて非常に好い!
だが、すぐに裏切るような奴はだめだ。それでなくても、俺たちはあっちこっちから狙われている身だ。情報が高値で売買されていても不思議ではないのだ。
「うちの社長がこう言っている以上、僕も同意せざるを得ないな」
俺に合わせてる体を取っちゃいるが、女に甘々なウィンでさえ、この女はさすがにヤバいと思っているらしいのが表情でわかる。
「待って! 私……元々ゲスに買われて働かされてたネ……本当はあんな仕事したくなかたよ。これ本当」
「……君はゲスと対等な感じだったし、とてもそんな風には見えなかったが」
「それは私有能から。ゲス商会私が切り盛りしてたネ。ゲス頭そんな良くない。私働いてからゲス商会大きくなたよ。これも本当」
なんか必死にアピールし始めた眼鏡女を見て、俺とウィンは顔を見合わせる。
他に行くところがないのだろう、かなり必死らしい。
「ずっと、あんな仕事したくない思てた。でも逃げたくても私行くとこない。子供のときからあの仕事しかしてないよ。自分の仕事悪いことずっとわかてたよ。売られた私今度は別の子売る。これ最低ネ……でも他に生きる方法知らないよ……」
「ちょ、ちょっと待ってくれ……君は、というかゲスは一体どんな仕事をしてたんだ?」
「あなた知らない? ゲスは人身売買で有名。人買って売る仕事ネ」
マジかよ。あのじじいただの密貿易商じゃねーのか……。
「人身売買か……それはさぞかし儲かったんだろうね……」
「あ、忘れてたネ。これ、ゲスの資産。バレないよう私の架空名義のリネンの銀行口座に移したから、しゃちょたち好きに使ういいよ」
眼鏡女から、銀行の通帳と印鑑を受け取り中身を確認する。
ゼロが一、二、三……九個。
しめて八十億くらいある……。
静かに通帳を閉じ、俺とウィンはまた顔を見合わせた。
「ようこそ、アンズ。子共の頃から無理やり働かされてたなんて……大変だったね。今日からは僕たちが家族だと思ってくれ」
「ああ、まったくだ。そういう事情なら話は別だ。これからよろしくな、アンズ! 歓迎するぜ!」
こうして、超絶有能な秘書が社員になった。




