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我ら救世傭兵団!  作者: zionPoP
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悪徳の代償

「かいちょ、バーチ今港着いたネ」


「そうか。ケースの扱いにはくれぐれも注意しながら運ぶように伝えろ」


 ヌーロンが無事に港に着いたとの連絡を受けたゲスは、ペットの斑蜘蛛に餌をやりながら不敵に笑う。


「くっくっく……これでわしはついに武力をも手に入れたぞ」


 アンズという頭脳を上手く使うことで、ゲス商会はコットンでも有数の密貿易業者に成り上った。しかし、所詮は一介の仲介業者に過ぎない。いくら財があっても、武力のない人間はなめられる。それがこの世の掟だと、ゲスは信じている。


 武力を持つ人間を雇うことはできる。しかし、腹の底からは信用出来ない。金だけの関係というのは、とどのつまり、より多くの金を出す奴がいれば寝返るということだからだ。


 その点ヌーロンは生体兵器なのだから裏切ることはない。もし、その性能が下馬評通りだとすれば、もはや一介の密貿易人などでは収まっていられないだろう。


「じゃ、私出迎え準備ある。ちょっと失礼するネ」


 そう言ってアンズが退出し、豪奢な家具で彩られた部屋でゲスは一人になった。


「とうとう、もう一段上に登るのか……」


 ゲスはシーアイランドの夜の街並みを見下ろしながらひとりごちる。


 昼間ならば港に停泊しているはずの輸送船が見えただろうが、今は見えない。


 雨が降りしきる中で灯る街の光一つひとつと、下々の者たちの儚い命を重ね合わせ、ゲスは柄にもなく感傷的な気分になる――




 このゲスという男の主力事業は、人身売買である。

 人を物として扱い、右から左に流して益を得ることを生業としているので、当然、仕入先と販売先がある。

 その仕入先の一つは、同業者の間で『人間牧場』と呼ばれている。もう一つは、貧富の差が激しく人口の多いシルク国やアセテート国などを拠点とする東洋の人身売買組織だ。


 人間牧場はその名の通り、販売するために人間を作っている組織で、比較的安価に仕入れられる。だが、ゲスの仕入れの八割は後者の組織からだ。というのも、販売先――つまりゲスの顧客の多くは養殖よりも天然物を好むからである。そして、天然物にも二種類ある。親に売られたものと攫われてきたものだ。なかでも、最も人気があり実入りがいいのが、攫われてきた方――俗にいう『アップル』だ。しかし、アップルの中でも『ゴールデンアップル』と呼ばれるいわゆる血統書付きは、値段の0が一つ、時には二つ増えることもある。当然、それだけの額を払える顧客というのは、並大抵の人物ではあり得ない。


 ゲスは顧客からゴールデンアップルを所望されることが多い。しかし、武力のないゲスは、たとえゴールデンアップルを得たとしても、足元を見られるか、なんらかのトラブルに巻き込まれる可能性が非常に高い。よって、入手に掛ける費用が莫大となり、利幅は薄くなる。


 が、ヌーロンがあれば話は変わってくる。噂通りの性能ならば足元を見られることがなくなるどころか、ゲス自身が仕入れを行うことも可能なのだ。そうなれば、この男は世界一の人身売買人になれるだろう。




 ――ゲスは不気味に微笑みながら、こっちに向かっている車を探そうと窓の外に目を凝らしていた。

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