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我ら救世傭兵団!  作者: zionPoP
86/225

運び屋バーチ4

 様子が変だ。

 船尾から船に上がったバーチはすぐに異変に気付いた。


「静かすぎる……」


 二班の威嚇射撃は前方に注意を引くためのものだ、本来なら舳先に人が集まっていたり、騒ぎ声が聞こえるはずなのだが……。

 一抹の不安を抱えながら、バーチは梯子を下ろし、他の連中を船に上げる。

 バーチを入れて六人。こういう仕事に慣れた者ばかりだ。


「…………」


 声を出さずにハンドシグナルだけで意図を伝え、それぞれが腰を低めながら散開していく。

 目標は船倉のケースに入った生体標本。しかしそれを海上で盗み出すのは難しい。


 バーチたちの仕事は、船そのものを拿獲し、シーアイランドまで持っていくことだ。


 そのためにはまず、乗組員全員の居場所を把握しなければならない。拿獲後の意図せぬ反撃を防ぐためもあるが、船自体を沈められる可能性もあるからだ。

 

「生体標本か……」


 ゲスの秘書によれば、それはかなり秘匿性の高いものらしく、追い詰められた奴らが船ごと沈める可能性もあるらしい。こういうリスクを最小限にするためにも、乗組員は全員殺した方が良いとバーチは腹を括っていた。


『――船舵室には誰もいねえぞ』


 身を隠しながら船内への扉の前まで来たバーチは、イヤホンから聞こえてきた声に顔を顰める。


『確かか?』


『間違いない。こいつは怪しいぜ。どうする旦那?』


『全員甲板まで戻ってくれ。一度立て直したい』


『ガガッ………』


『おい、どうした? 何があった?』


 突然、船舵室にいた男との無線が切れる。


『なんだ、どうした? おい指示をくれ』


『とにかく全員甲板に戻れ! 急げ!』


「くそがっ!」


「おい、どうなってるんだ……?」


 一番近くにいた男がバーチの下に駆け寄り、無線を通さず直に話しかけてくる。


「バレてる」


 ゲスがまた騙したのか……それともこの船の奴らが俺たちの作戦を見抜いていたか……。


『ガガッ……』


「おい、どうした? おい、応答しろ!」


「やばすぎる。もう逃げようぜ!」


 別の無線か途切れたのと同時に、さらに二人が戻ってきた。

 バーチは呼吸を落ち着けてから、顔の雨を拭った。雨が勢いを増し、海は荒れている。


「二人はもうやられたと思った方がいいな……作戦変更だ。固まって動くぞ。俺が前を行く」


 不満そうな男たちをしり目に、バーチは船内へと入った。


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