明るい未来と暗い過去2
「に、ニームの特殊部隊!? 只者じゃないとは思ってたけど……まさかね」
「……ニームって謎に包まれ過ぎてて、何も知らないっす。聞くのは都市伝説みたいのばっかで」
「ぶっちゃけ、良い噂は聞かねーよな。私も昔ニーム人世話になってなかったら、絶対悪い印象しかないと思う」
「社長、社長。ニームって一部の権力者以外は全員貧乏ってほんとっすか?」
リネンでも薄々わかってはいたが、こいつらと一緒にいるようになって確信した。
外国の奴らはニームのことをまったく知らないのだ。
予想はしていたがまさかここまでとは。
「――それは間違っています!」
声の主が誰かは、振り返らずともわかる。
ミュウが慌てて立ち上がり、厨房に戻った。
「ニームに敵対する悪の枢軸連合が流しているデマに惑わされてはいけません! 我が国ほど豊かで発展している国は他にないと、私が断言しておきます!」
「よお、ディーその辺にしとけよ。愛国心剥き出しな奴ほど胡散臭がられるぞ」
「構いませんとも! 我国家のためならどんな艱難辛苦も厭わず、です!」
だめだこいつに施された洗脳はかなり根深い。
「あ、あのさ……私もずっと聞きたかったんだけど。ニームってなんで戦争ばっかしてんだ?」
「ルマンさん……」
ディーが剣呑な目つきでルマンを見つめ、
「ああっ、なんて良い質問っ! この私、ディーが説明して差し上げま……しょう」
次の瞬間には弾けるような笑顔でそう言ったとき、ミュウが寸銅鍋を持ってよろけながら厨房から出てくる。
「……食後にでも」
と数秒前とは打って変わって、ディーは恥ずかしそうに小声でそう付け足した。
それにしても、ニームが戦争ばっかしてるってなんだ? 他の国もしてるじゃねーか。
それこそ俺はコットン人ともシルク人ともウール人とも戦争をしてきた。
こいつらはきっと中立国の奴らだから頭がお花畑なんだろう……。
「それよかお前ら、ウィンの奴はどうした?」
思うところあり気に、がっつくディーを見ていたルマンが、俺の方を向く。
「ウィンなら朝からずっと船倉だよ。なんか気になることがあるんだって」
「船倉……っ!?」
まさか、あの野郎……とうとう普通の女には飽きてとんでもない趣味に走る気じゃ……。
俺は朝飯を大急ぎで掻き込んでから、走って船倉に向かった。




