お見積もり
翌日。
無事にルマンたちが、密貿易業者の補給船を連れて戻ってきた。
「どうも、旦那が社長さんですか……私めはシーアイランドで貿易商を生業にしておりますゲスと申します。こっちが秘書のアンズです」
「どうも、アンズと申す。よろしくお願いするネ」
どんな胡散臭い奴らが来るのかと思ったら、まともな雰囲気のスーツを着込んだ白髪の爺さんと、訛りのきつい東洋人っぽい眼鏡の女だ。
「おう、堅苦しい挨拶は抜きにして、さっさと見積もってくれ」
「然らば、仰せの通りに」
俺たちは、ゲスとアンズを連れて船倉に下りた。
しばらくの間、二人は何かを書き込みながら船倉を見て回る。
「なあ、こいつら信用出来んだろうな?」
「心配ないよ。ゲス商会っていや、その道じゃ知らない奴がいないほどの密貿易商だからね。こういう盗品の扱いには慣れてるさ」
俺の心配をよそに、ルマンはどこか誇らしげにそう言う。
「おっと、どうやら終わったみたいだね」
「――いやいや、まさかこれだけの品物とは。社長さんは武器に関してお目が高いとお見受けします」
「まあ、そんな事もあるけどな~、ぶははっ!」
本当はウィンが選んだことを知っているルマンが何か言いたそうにこっちを見てくる。
「で、いくらだ?」
「燃料代と食料代を差し引く……しめて五千万モメンいうところですネ」
俺の問いに、秘書が眼鏡をクイっとさせながら答える。
「…………」
俺とウィンは顔を見合わせる。
モメンってなんだよ……。
「五千万モメンってことは今のレートだと――だいたい八千万リーネぐらいか……まあ、出所がはっきりしない武器にしては上々じゃないか?」
通貨はリベットとリーネしか知らない俺たちに、イバンが助け船を出す。
このハゲは早々に幹部にしてやろう。
「よし、じゃあそれで――」
「むむむっ! しばしお待ちを……そこの布を被せてあるケースは?」
即決しようとした俺を遮って、ゲスがあの裸美人が入っているケースを指差す。
すっかり忘れていたが、これも売れるなら売っちまいたい。
「あーこれな。へへへっ、爺さん腰抜かすなよ——さあ、てめえらこれにいくら出すんだ?」
「ッ!?」
マジシャンよろしく派手に布をはぎ取ってやると、爺さんは目を見開いて固まり、
「こ、これは……まさか、ヌーロン……いったい、どうやって……」
そう言って、本当に腰を抜かしてその場に座り込んだ。




