モンスター娘のトリセツ
「それじゃあ、行ってくるよ」
「ああ……僕らの情報が既に出回っている可能性は高い……くれぐれも気を付けるんだよ、ルマン。君が心配だ」
「うぃ、ウィン……」
「おい、ビッチ。言っとくがこいつの甘言にいちいちそんな顔してたら、あっという間に玩具にされんぞ。てめえは仮にもボスなんだろ」
「……いちいちイチャモン付けんなよ、社長。もういいんだよ私は、これで」
もはや、この女はチンピラのボスという立場をすっかり捨て去っている。
「早ければ明日には戻れると思うから、待っててくれ、ウィン」
「ああ、信じてるよ。僕の太陽」
ここはシーアイランドというコットン帝国の島にほど近い海上。
ようやく、陸地に上がれると思っていたのだが、大勢で行くのは警戒される可能性があるというウィンの意見により、上陸するのはルマンとイバンとその部下数名、それと解放してやるリネン港湾局の奴らだけにして、俺たちは船で待つことになった。
上手く行けばここらで有名な密貿易業者と一緒に、明日にでも補給船でここに戻って来る手筈だ。
「なあ、てめえもうあいつとヤッたのか?」
「ん? ……ふっ、そこはご想像に任せるよ」
もったいぶりやがって……気になるじゃねえか……。
だが、ここで興味津々な態度を見せるのもダサいから話を変えよう。
「そういやよ、てめえディーにモテないのは気にしねーんだな」
「ああ、アレはもう人と思っていないからね……」
確かに……。
この四日間で、俺たちはディーへの見積もりを上方修正していた。
ブランズにはランクがある。ニーム軍では、このランクの上位十人をハイブランズと呼んでいるのだ。
ちなみに最後の査定では、俺は二十五位、ウィンは三十三位、リーは十一位だった。そして、ディーは直近の査定で三位になったという。
新人の頃ですらディーは、飛び抜けて強かったが、本人曰く、あの頃に比べると倍は強くなっているらしい。
「……あいつに嘘吐いてんのバレたら――終わりだな」
「ああ……これは賭けだからね。彼女の異常な食欲があるからこそ何とか誤魔化せているだけだからな」
四日前に、発信機が焼け焦げていたことで、危くディーが何かに気付きそうになったが、俺の分の飯を与えて気を逸らし、なんとか誤魔化すという一幕があった。
出来るだけ食い物で釣って買い殺すしかない。
「ふぉーーーーーーーーっ! ふぉーーーーーーーっ!」
「ふぉ、う、うわっ! くそっ! ふぉーーーぶへっ!」
甲板では、もはや日常光景と化したリーとラダの修行が行われている。
人差し指だけで逆立ちしながら奇声を発するリーを真似しようとラダが奮闘しているようだ。
「あーくそっ! っまんねえなー。陸地に上がりてえ!!」




