第二の刺客3
「……なるほど。ウィン少佐は私に同情しろ、と? 残念ながらそれは出来ません。なぜなら、ニーム軍があなた方を追っている理由は、第一にゴッズテックを無断で持ち出し使用した罪、第二に国境分断壁の破壊、及びそれによって国防の観点から国を危険に晒した罪、そして第三に――その際に兵士一名を殺害した罪、に依るものだからです。ご存じの通り、これらはいずれもニーム軍法により死罪に値します」
「…………」
ぐうの音も出ない俺を、ウィンがこれ以上ないという冷ややかな目で見てくるが、それと対照的に穏やかな笑みを浮かべたディーが、
「質問がなければ、そろそろゴッズテックを取りに行きませんか?」
と催促してくる。
ゴッズテックを入れたバックパックは、報酬の武器とかと一緒に船倉に積み込んである。
フル回転で脳みそを使うが、何も良いアイデアが浮かんでこない。
ウィンの方を見ても、首を振るだけだ。
こいつからすれば、ゴッズテックを渡すのに何の躊躇いもないのだろう。俺だってそれで済むならそうするが、ディーはこれが済んだら第二の任務――俺たちの捕獲を始めるに違いない。しかも、そのときには、ディーがゴッズテックを持っているということになる。そうなれば、完全に詰みだ……。
打開策が何も思い浮かばないまま、俺、ウィン、ディーの順番で食堂のある階まで下り、さらに下の階へと向かおうとしたとき、
ぐう~~~~~っぎゅる~~~~っ!
静かな船内に怪音が轟く。
俺は咄嗟に後ろのウィンを振り向くが、ウィンも後ろを振り返り、最後のディーも後ろを振り返る。
気を取り直して、足を踏み出そうとすると、再び同じような音がし、俺が本気の速さで振り返ると、ウィンは既に振り返っており、ちょっと遅れてディーが振り返るのが見えた。
「いや、てめえだろう……」
「な、何のことでしょうか? これでも一応女子なんですから! あんなはしたない音を出すわけがないでしょう……」
わけのわからない言い訳をしながら尻切れトンボになる一応女子。
「ふっ、何だか良い匂いがするね。誰か料理してるんだろうか?」
「あー、ほ、本当ですね。確かに香ばしくて、食欲を刺激する匂いがします!」
ウィンが助け船を出してやると、なぜかディーは少し慌てる。
そして、
ぐぎゅ~~~~んぐるんぐるんっ!
もはや言い逃れ出来ないほどの腹の虫を鳴らし、真っ赤な顔で俯くディーを見て、俺とウィンは顔を見合わせて頷き合った。




