姉弟の決断2
「まあ、好きにすりゃ良い。どう生きるかはてめえの自由だ」
昨日とは打って変わったラダの様子を見て、俺はニヤけてしまう。
どうやら、攫われて修羅場を味わった経験が、こいつを変えちまったらしい。
こういう変化は大事だ。強くなるのに欠かせない。
「ってなわけで、まあ、俺たちはお前らの依頼を完遂出来なかったわけだが……まだ換金してねえが報酬は稼いだ。こっちとしては、穴埋めに半分はお前たちってので手打ちにしてえんだが、どうだ? もし他に要望があるなら言ってくれ、出来るだけ応えてえと思ってる」
「おいおい、子どもがそんなこと決めれるわけねーだろ……こうなった以上こいつらには行く当てもないんだぞ」
「馬鹿、ハゲ! こいつらはもう大丈夫だよ。何があったのか知らねえが、面構えが昨日とは違う」
まったく、ハゲまで俺のやり方に口出ししやがって……面倒臭え。
「まあまあ二人とも。それよりも、さっき上で皆に話した内容を君たちにも共有しておいた方が良さそうだ。 イバン、君にとっても重要な事だよ」
――ウィンが船舵室で話した内容を伝えると、イバンは無言で部屋を出て行った。
これからの身の振り方を、色ボケしたボスと相談しに行くんだろう。
「あの、私決めました」
ずっと俯いて黙っていたミュウが顔を上げる。
「私たちもお二人の会社で雇って下さい! 家事でも雑用でもなんでもします!」
「俺も賛成! 師匠に付いて行くって決めてたし!」
と、真顔で馬鹿なことを言ってくる姉に続き、弟がもっと馬鹿なことを言ってくる。
「ああ、もちろん! 大歓迎――」
「だめだ」
嬉しそうな声で勝手なことを言おうとするウィンを、今度は俺が遮る。
「てめえらは役立たずだ。今回はたまたま使い道があっただけだ。子供に出来る仕事なんて俺たちの会社にはねえ」
お荷物が増えるというのは、進む速度が遅くなるのと同じだ。
それに俺たちはニーム軍だけではなく、パームカンパニーからも命を狙われる羽目になるだろう。
俺的にはこいつらが死んでも別にどうってことはないが、ルマンたちが仲間になるって言うんなら、ガキ共が人質に取られたりすると厄介だ。あいつは絶対同情して馬鹿をやらかす。
「まったくお前は……」
呆れ顔で首を振るウィン。
ミュウは、そんなウィンと俺を交互に見てから、両手をぎゅっと握り締めると、
「あの~、さっき、依頼が失敗したから穴埋めしてくれるって言いましたよね?」
そう言って、笑顔で首を傾げた。
どうやら、弟だけでなく姉の方もたった一日で変わってしまったらしい……。
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