ルマン一家の行く末
「あーーーーっ! もうめちゃくちゃだよ!」
俺とウィンが操舵室に入るなり、ルマンが叫ぶ。
話を聞くと、出港する時点で既に港湾局の職員が、出港の取り止めを要求するために、船内に入って来ていたらしい。
「うわー、てめえ一般人簀巻きにしちゃったの? やべーぞそりゃ。もうあの国に帰れねーな!」
「なんで嬉しそうなんだお前はっ! 誰のせいでこうなったと思ってんだっ!」
「まあまあ、とにかく全員無事で良かったよ」
俺にからかわれてキレてたルマンが、ウィンの言葉に俯く。
あーつまんねえ。
「でもどうしよう……一体私たちはどこに向かうんだい?」
ルマンの呟きに、室内にいるルマンの部下たちが全員俺の方を向く。
計画では、こいつら雑魚は、船を俺たちに引き渡してから下船する予定だったのだが、物事はそう思い通りには進まない。特にこんな無能なチンピラ風情では仕方がないというものだが、ウィンじゃなくて、俺の方を向く所は、良い心掛けだと思う。
「おい、そこのバンダナ! 自由国家連合まで全速前進だ!」
「「「「「えっ!?」」」」」
操舵手をしているバンダナを巻いた奴に俺が指示を出すと、他も揃って声を上げやがる。
「ば、馬鹿かお前? ウールまでどれくらいかかると思ってんだ? この船でも最低二カ月はかかるぞ!」
「んなこと言っても、俺たちは端から自由国家連合に向かう予定なんだからしゃーねーだろ。嫌なら降りろよ」
生意気にも俺の計画に口出ししてくるルマンを睨みつけるが、気の強いこの女は折れない。
「いやいやいやっ! 燃料とか食料とか水とかどーすんだよ? 何人この船に乗ってると思ってんだよー。あー、もー、ハァ~」
とうとう飽きれたという感じに溜息を吐くルマン。
そういや、補給とかそういうのは忘れてた……。
こういう時は副社長の出番だとばかりに、俺はウィンの方を見る。
「……まず、予定が大幅に変わってしまったことを詫びよう。しかし、あれだけの事態を招いた以上、君たちもあの街にはいられないはずだ。僕らと一緒に来るのであれば歓迎はする。だが、強制はしない。いずれにしろ、途中で補給のために停泊しなければならないからね。そこで、下船する選択肢もある」
ウィン得意の雄弁テクで、ざわついていた雑魚共が黙る。
「ま、まあ、私は最初からあんたに付いて行くつもりだったからね……報酬貰わねーとだし……」
なぜか照れながらウィンにそう言うルマンを見て、イラっとしているのは俺だけではないみたいだ。
「姉さん……悪いですけど、俺は次の港で下ろしてもらいます……なんていうか……あんたにはもう付いていける気がしねえ」
それに続いて全員が同意とばかりに声を挙げる。
ざまーみろ。男に走った雌悪党の末路なんてこんなもんだ。




