港街ライオット13
「ころころころころころころこ……ころころころころころころ……」
頭を抱えてブツブツ呟くリーがミュウとラダとルマンの部下たちを連れて埠頭に姿を現した――いや正確には、リーが連れてこられた。
「あちゃー、やっぱりだ……」
「今回はどこを怪我したんだろう」
せっかくの感動の場面が台無しになるのを感じ、嘆息しながら俺とウィンはまずリーに駆け寄り肩を貸した。
「ば、バイスさん……あのー、この人急におかしくなっちゃって……」
「心配すんないつものことだ。ってか、こんなお荷物連れてよく逃げてこられたな。追っ手がいんだろ? ほらささっと乗れ!」
「あ、あ……はいっ!」
心配そうに報告してくるミュウに早口で乗船を促すが、ラダもハゲも何か言いたげに、俺を見てくる。
「みんな無事で何よりだ。さあ、早く乗船して」
ウィンが手を叩きながら皆を促すと、今はそんな場合ではないと察したのか、ハゲがミュウとラダの背中を押して階段を上って行く。
「さてと……これどーすんだ?」
「……どうもこうも、こうなったらしばらくは役に立たないよ」
「てめえ、こいつの親友だろうが! 治し方ぐらい知っとけよ!」
「親友だと!? いや、まあ友人ではあるが……言葉がわかるからって親友と決めつけるのはどうかと思うが……」
未だ、しゃがみ込み頭を抱えながらブツブツ言っているリーを見下ろす。
「あー、ほらここ。太腿のところ」
ウィンが指をさした箇所には、銃弾がかすったと思われる傷があった。
「……これだけで?」
「ああ、これだけで」
わかってはいたが、改めてリーのメンタルの弱さに引く俺に、ウィンが頷く。
確かに、ニーム最強の全方位型特殊作戦部隊ブランズのメンバーは、傷を負う事を極度に嫌う傾向がある。
我を忘れて怒り狂う奴もいれば、プライドを傷つけられたことで酒に走る奴もいる。
そんななかでも、リーは群を抜いてメンタルが脆かった。
「きっと市街地を抜けてきたからだろう……死角から発砲されたんだね」
ゲリラ戦や市街地戦に送り込むと、足手まといになると判断した軍上層部は、リーを普通の戦場から外し特殊任務要員にすることに決めた。
こいつが暗殺と潜入を生業としていたのには、こういう理由があったのだ。
「……ちっ、まあいい。てめえはこいつを船んなかに連れて行け。どうやら客が来たみてーだ」
一台の戦闘車両がこっちに爆走してくるのを見て、俺は呟いた。




