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我ら救世傭兵団!  作者: zionPoP
47/225

港街ライオット12

「撃て撃て撃てーーーーぇいっ!!!」


 装甲戦闘車の助手席で、窓から体を半分乗り出したイラが叫ぶ。


「もう死体でも構わん! 皆殺しだっ!」


 上部に取り付けられた銃架から機関銃を乱射していた部下は、その命令に反し発砲を止めた。


「支部長閣下っ! この先は港になります! 港湾きょ――」


「貴様ーっ! 黙って撃て! 責任は持つ!」


 倉庫に保管しているヌーロンが狙われていると察したイラは、港に向かう途中で、あの忌々しき奇声を発するヌーロンと少年の一団を発見し、急襲したのだが……。


「……おかしい」


 あれだけの実力を持った生体兵器が、防戦一方。

 というか、反撃する素振りすら見せずに、完全に逃げに徹している。

 装甲戦闘車相手に怯んだ? いや、機関銃との相性が悪いのか……。

 何にせよ、これは奴を仕留めるチャンスだ。

 あんな化け物は仕留められるときに仕留めておくのが得策。

 それに、もし仮に万が一にもヌーロンが盗まれたとしても、あのもう一体を死体ででも入手すれば、本部への言い訳に使える。


「あのおかっぱ頭を狙えっ! 他はどうでもいい……いや」


 とはいえ、コンテナと倉庫が並ぶ港は、遮蔽物の多い入り組んだ路地と同じく逃げ場が多く、かつ、戦闘車両では小回りが利かないため、追い込むのは難しい。


「倉庫だ! 倉庫に向かえっ! 今はそっちを優先する」


 この場は、私怨よりも目的を優先。

 そう判断したイラは、部下に命令を下す。

 いずれにせよ、奴らもパームカンパニーの倉庫街に向かうはずだ。



「……ぬごぐぬ……がーーーっ!!!!」


 倉庫街にたどり着いたイラの目に入ってきたのは、扉を開け放たれ荒らされた倉庫の数々、そして一箇所に固められ、両手足を拘束された警備兵だった。

 そして――、

ヌーロンを保管していた倉庫の中を見て、イラは声にもならない声を上げた。

 周囲を探させても、奴らの姿はない。

 他にも仲間がいるということだ。

 薄々勘づいてはいたが、社屋で起こった全ての事はブラフ。

 今さらながらに、まんまと嵌められた痛恨と決められた事案に泥を塗った重責とで、イラは一瞬半狂乱に陥る。


 そのとき――、


「支部長閣下! 港湾局に向かった者から、埠頭にて、予定にない我が社の輸送船が停泊しているとの連絡が!」


 まだ間に合う!

 船まで盗まれていることを顧みることなく、イラの頭に最初に浮かんだのは天啓のようなその一言だった。


「直ちに港湾局に事情を説明して出港を止めさせろ! 我々は埠頭へ向かうぞ」


 正気を取り戻したイラは、号令すると、急ぎ車両に乗り込む。


「ここを襲った奴らは船でおかっぱ頭たちを待っている……くかかっ」


 ひとりごち、異様な笑声を上げるイラに部下たちの困惑の視線が集まる。


「これは奴らを一網打尽にする好機と捉えよっ! 出せっ!」


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