港街ライオット11
「おーーーいっ!」
倉庫街にいる俺たちに気づき、手を振りながら駆け寄ってくるルマン。
ようやく素直になったか……。
しょーがねー、ここは少し可愛がってやるか。
「おいおい、そんなに俺に会いたかったのかよ……ッ!?」
ものすごい勢いで走ってくるルマンは、
「ウィン! 無事だったんだね……よかった」
俺には目もくれず、ウィンに抱きついた。
「やあ、ルマン。そんなに心配しなくても……これだけの仕事をした君の方が心配だったよ、僕は」
「……こんなのどうってことないさ……」
おい、おいおいおいおい、おいっ!!
なんだよこれ?
「それにしても流石老舗の傭兵団だね。これだけの船を保有してるとは」
「ああ、でも警備もザルだったし、あいつらからしたら大したものでもないのかもね」
ウィンに身を寄せて、盗んだ輸送船を見上げるルマン。
それを見て、俺は開いた口が塞がらない。
「……ミュウたちが心配だね……間に合ってくれるといいけど」
「そうだね。で、港湾局の様子は?」
「街の騒動であっちも混乱してるからね。なんとか誤魔化せてるって感じ」
「……なるほど。とにかく急いだ方がいいね」
「ちょ、ちょ、ちょっと待てよ……」
ようやく口が動いた俺を、二人が「ん?」と見返してくる。
「お、お、お前、俺のことが好きだったんじゃねーのかよ?」
「……はぁ??? どうやったらそんな勘違い出来んだよ……」
「だ、だってよ。てめえ、俺みたいな野性味溢れる男が好きなんじゃ……」
「いや、だからどこ情報だよそれ。……私は優しくて家庭的な男が好きなんだよ、昔から」
ウィンの腕を引き寄せて自分の胸をぎゅっと押し付けながら、ルマンは女の顔でウィンを見つめる。
「……いやー。はははっ」
「ぐ、ぐうっ……!」
気を遣って乾いた笑い声を出すウィンを見て、思わず涙が込み上げてくる。
まただ。もう慣れてちまったけど、またこうなった。
今回は、ああいう女は俺みたいなのが好きだなんて偉そうに講釈を垂れてただけに、余計に堪える。
……待てよ。そういえば、ウィンの野郎はルマンが来るときだけ、やけに掃除したり、料理したりしてなかったか?
「おい、てめえ。やってくれたな……」
「な、何がだ? おい止めろ! 今のは当たるところだったぞ! 俺が何をしたって言うんだ!」
「うっせええええっ! 今日という今日は許さねえ!」
「おいっ! あんたら! 今何か聞こえなかったか」
ルマンの声に、ウィンへの制裁を一時的に止めて耳をそばだてた。
「……銃声だな。おい、出港準備だっ!」
「だ、だってまだミュウたちが」
「大丈夫だ。いつでも船出せるようにしとけ、急げ!」
走り出すルマンから、また音のする方に目をやる。
「リーにしては遅すぎだな……」
「ちっ、てめえは喋りかけんじゃねーよ」
悲しそうな顔でこっちを見ているウィンが言う通り、リーにしてはもたついているのが気になる……。
ということは――
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