港街ライオット8
「――SIKシリーズは質が良くないからいらないよ。それよりもこっちからこっちまで全部貰っとこうか」
「わかりました。おい、こっちからこっちだ。この辺のは置いとけ」
「ん~、んっ? ん~~」
パームカンパニーの倉庫には、予想通りほとんど武器しかなかった。
忙しなく売れそうな武器を選び、指示を出すウィンをよそに、俺は腕を組みずっと唸っている。
「おい、いい加減仕事してくれないか? そこにずっといられても邪魔なんだが?」
「……てめえは本当に愚かだな」
「ッ!? お、愚か……僕は今お前に愚か、と……」
なぜか俺の発言に、足を止めて反応するウィン。
「ああ、愚かだ。コイツの価値を測るのを怠るなんて商売人失格、だな」
「――お前はこれが売れるとでも思ってるのか?」
そう言われて、改めて目の前のケースを見定めてみる。
筒状のガラスケースに液体が入っている。
何度か揺さぶってみたのだが、粘性がないことから水に近い液体っぽい。
そして……そして、だ。
「これだけの美女だぜ。東洋人だぜ。間違いなく裏のオークションなんかでかなり高値で売れるはずだ」
「…………」
「問題はそういうルートをルマンたちが持っているか、だな」
「いや……落ち着いて聞けよ、バイス。お前はルマンがコレを売るのに協力すると思ってるのか?」
……確かに。
なるほど、やはりこいつは愚かではないのかもしれない。
あれだけミュウに肩入れしている女が、人身売買に加担するとは考えにくい。
「となると、売り手が見つかるまでは保有資産として扱う、か」
「さっきから、語尾をそれっぽくしているのが気になるが……まあ、それはいいとして。こんな物には関わらない方が良いというのが僕の意見だ」
まったく、こいつは経営者の苦労を全然わかっちゃいねー。
金になるなら、あらゆる可能性を想定するのが商売人だろーが。
「……決めたっ! コレは持ってくぞ。ウールに行けば買い手が見つかる、そんな気がする」
「気がするって、そんな理由で……ああっ、もういい! すまない君たち! これも積み込んで上から布か何か被せてくれ」
俺の判断に面倒臭そうに従うウィンの肩を叩いてやる。
「……久しぶりにイラっとしたが、どういうつもりだ?」
「いやー、良いパートナーを持って俺は幸せだと思ってな」
「……ふっ」
ちょろいパートナーで、本当に幸せだ。




