港街ライオット6
どうして……。
「早く! 足を動かせ!」
どうして……こんな事に……。
「ミュウ! ほら、急ぐんだ!」
あれは、私がやったの?
絶対に持ち帰るようにと言われた拡声器を握っている手がものすごく重く感じる。
「くそっ! 人が多すぎる。おい、お前ら裏道だ! 通路を確保しろ!」
もし、あのビルに人がいたら……私が。
「しっかりしろっ!」
頬を思いっきり叩かれて、周囲の騒音が耳に入ってくる。
「あ、わ、私……」
「大丈夫だ。あのビルの上階には人はいなかったはずだ」
ルマンさんの部下の大きい人は、汗だくの顔で微笑む。
「だから、お前さんは誰も殺しちゃいないよ」
「よ、よかった~~~~」
全身の力が抜けて、倒れそうになる体が支えられた。
「とにかく、今はここから逃げるのが先決だ! ほれ、ちゃんと立て」
そうだ。これ以上皆さんに迷惑をかけるわけにはいかない。
ルマンさんの部下の人たちに囲まれながら、私は再び走り出す。
どうやら港の方に向かっているみたいだ。
「あ、あの、一体、さっきは何が?」
「……俺にもわからねえ、ただ、これも作戦の内だってことだ」
ということは、あれはバイスさんの……。
でも、あれだけの惨事を起こすなんて聞いていなかった。
「わかるぜ……ありゃちょっとやりすぎだよな。あいつらは頭のネジがぶっ飛んでやがる」
「…………」
でも、バイスさんのことだ。きっと私なんかでは思いも付かないような深い考えがあるに違いない。
とにかく、今は早く皆さんと合流して、ラダを……お父さんの安否を知りたい。
「おい! 貴様ら! 止まれ!」
「……ミュウちゃん。口を開くなよ」
背後から呼び止められ、大きな人が私にそう言って頷いてから後ろを振り向いた。
「いやー、びっくりしましたよ、まったく。旦那、ありゃ、一体なんだったんですか?」
「黙れ。質問するのは俺だ。そこのガキ、こっちを向け!」
話し方からして、どうやら軍人さんではないみたいだ。ならきっと、パームカンパニーの兵士に違いない。
最初から子どもを探しているのだから、私のことを探しているのかもしれない。
「おい、お前! さっさとこっちを向け!」
銃を構える音がする。
このままだと、きっと皆さんに迷惑がかかる。
「わ、私?」
そう言ってから、私は振り向きざまに、思いっきりスカートの前をめくり上げて、上半身を隠した。
「……おじさんもパンツ欲しいの?」
「ッ!?」
「今だっ!」
大きな部下さんの掛け声が聞こえて、それに続いて銃声が響いた。
スカートをゆっくり下ろすと、頭から血を流した兵士がうつ伏せに倒れているのが見える。
「ナイスだ、ミュウちゃん!」
「は、はいっ!」
生まれて初めて人が死ぬのを見たのに、特に怖がっていない自分が少し怖くなりながら、私はまた走り出した。




