ボンボンの苦悩
「どうもおかしいんだよ……」
「あん? 何がだよ?」
作戦開始時には何かと表で動いていたウィンだったが、今では外に出るのを止めている。
ニーム軍からの刺客であるリーをこっち側に引きずり込んだとはいえ、俺たちがお尋ね者であることに変わりはない。
反パームカンパニーデモを誘発することで、軍の目を逸らす副次的利点は織り込み済みだったが、街には誰かの「目」として動いてる奴らがいる可能性もあるのだ。
それに、そろそろこの騒動の扇動者の存在にパームカンパニーも気づく頃だろう。ウィンが外をウロチョロして奴らに目を付けられたら面倒だ。
ということで、近頃は俺と共にミュウの家で引きこもっているわけなのだが――
「ミュウちゃんとルマンの二人は僕になびいていないみたいなんだ……」
などと妙なことを口にする。
こいつは、潜伏生活が長くなると決まってボンボンの地が出て、わけのわからない悩みを抱き始めるのだ。
「……てめえがまさかガキまでイケる鬼畜野郎だとはな」
「ち、違う! 断じてそういうわけではない! ……ただ、僕は自分になびかない女性を見ると怖くなるんだ……きっと幼い頃母からの愛情が少なかったからだろう」
ほら、やっぱりわけがわからない。
とはいえ、母親の愛情云々はどうでもいいとして、こいつが女絡みの悩みを抱えているのは面白い。
こいつにはこれまで女関係で散々煮湯を飲ませれてきた。ここは一つ日頃の鬱憤を晴らすとしよう。
「おいおい色男様、よく聞けよ。ああいう苦労して来た女ってのはな、てめえみてえなボンボンよりもちょっと口が悪かったり、強引な男臭いのに惹かれんだよ! そう、この俺みたいな男にな!」
「……ミュウちゃんはともかく、ルマンがお前を見る目は、仲間を殺されたアセテート兵が向けてきたものと変わらないように見えるが……」
せっかく俺がスラム育ちの女の扱い方を教えてやっているのに、水を差してくるウィン。
「ったくよー、てめえはなんもわかっちゃいねーなーっ! ありゃツンデレっつーんだよ! 目をみりゃわかる。あいつは俺を見る度に強引に迫られたときのことを思い出してジュンってなってる。ジュンってな!」
「……むっ、とてもそんな風には見えなかったが。ツンデレか……ツンとしているが実はデレているというあれか。なるほどな、そういう視点では見れていなかった」
これだからボンボンは。だが、今回は俺の圧倒的な勝利のようだな。ここはぐうの音が出ないほど徹底的に打ちのめしてやろう。
「まあ、てめえが女にモテるのは認めるが、ああいう気性の荒いのは俺みたいなワイルドな漢の専門ってことだ。まあ、諦めるんだな」
「ふっ、お前なりの慰めと取っておこう。ありがとう」
……こいつには、ぐうの音ぐらいは出させてやった方が面白いかもしれない。
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