バッドマンズビジネス6
「――そ、そうです。俺の両親はニーム人です」
「……その髪の色でもしかしたらと思ったけど。そうかい」
おもむろに立ち上がったルマンは窓際にいき、外を眺めながら語り始めた。
「あれはまだ私が十のときだった。孤児だった私は毎日食うだけで必死さ。でもある日、下手打っちまって、危うく犯されそうになったんだよ――」
そんなときに、助けてくれたのがニーム人だった。
「――その人は私をニーム人のコミューンに連れて行ってくれてね。しばらくそこで世話になってたのさ。でも、戦争が終わって、コミューンが解散したのと同時にみんな船でウールに渡っちまってね……それからはまた路上暮らしに戻ったんだけど……私はあのときの恩を忘れちゃいない」
「やっぱりな! お前も孤児だったのかよ~。どうりでイイ女なわけだ。白目さえ剝かなけりゃ完璧なのにな~」
「う、うるさいっ! お、お前は、人がせっかく良い話をしているのに……」
雰囲気たっぷりに語っていたルマンが恥ずかしそうに戻ってきて、ソファに腰を下ろす。
「姉ちゃんから聞いたことがあります。昔うちの父ちゃんたちもニーム人同士で暮らしてたって」
「ふふっ、もしかしたら私が世話になったなかにあんたの両親もいたかもね」
どうやら、上手い具合に話が進んでくれているようだ。
「で、どうするよ? この件にお前らも一枚噛むか?」
「ぼ、ボス! 情が深いのはあんたの長所だが、相手はあのパームカンパニーだ。冷静に頼むぜ」
「……あんたとも長い付き合いだね……でも、これだけは譲れないよ。義理を忘れた悪党なんてゴミ以下だからね。でもまあ、私も悪党の端くれだ。しっかり貰うもんは貰うから安心しな」
「……ちっ、仕方ねえ。腹くくるしかねーか」
説得を試みても意思が揺るがないルマンに、ハゲも折れる。
「まあ、私らもあいつらには何度も煮え湯を飲まされてきたからね。いつかはこうなる時がいま来たって思えばいいさ」
吹っ切れたように険がなくなったルマンが、意気揚々と俺の方を向く。
「で、お前は私に何をして欲しいんだ?」
「白目の件は大目に見るから一発だけやらせろ」
「死ねっ!!! 今すぐ死ねっ!!!」




