バッドマンズビジネス4
「なあ、どうしてこうなった?」
「……あ、あのさ、おっさ――いや、バイスさん。俺の台詞だよ、それ」
白目を剥いて倒れたルマンを見て、俺は一気に冷静になっていた。
理想の女は白目なんて剥かない。つまりこの女は、俺の追い求めていたゴッデスではなかったということだ。
「はあーっ、またやっちまったのか……」
ニームでも同じ失敗を何度も繰り返した経験から、思わずため息が漏れる。
この突発的な病気のせいで、近所ではある時期から、俺を見ると女たちが蜘蛛の子を散らすようになったのだ。何を隠そう、それが国を出たかった理由の一つでもある。
「な、なあ、どうすんのさ?」
「取り合えず、こいつらが起きたら謝るしかねーだろ……。いや、待てよ。俺に考えがある」
小一時間が経ち、ソファに寝かせたルマンが目を覚ました。
「ご、ごめんなさい。ルマンさん」
「……ん? お前は? はっ、あの男は!?」
目覚めと同時に俺を見たらどうせまた騒ぎ出すに決まっていると読んだ俺は、まずはラダと話をさせてルマンを落ち着かせることにした。
「え、えーっと。あの男って誰のことですか?」
「……な、なんなんだお前たちは? いったい私になんの用なんだ?」
「あ、どうも初めまして。目、覚めましたか?」
「――――」
「あのー、金になる話を持って来たんですけど?」
「――――」
ルマンは夢でも見ていたかのように、ボーっとしている。
眠たげな様子も美しく、やっぱり美人ではある。
そして、首をもたげ、室内を見回すと――
「夢でも見てました?」
「いや、私の部下倒れてんじゃんっ! 無理があんだろっ!」
すぐに俺の作戦を見破った。
その声で、ハゲが目覚め、呻きながら上体を起こす。
「ぼ、ボス……無事なんですか?」
「ああ、怪我はさせてねーよ、怪我は、な」
「ど、どういう意味だ!? おい、お前私に何をっ――」
ルマンは咄嗟に自分の体を抱き、身を引く。
「落ち着けよ。キスしようとしただけだって」
「~~~ッ!?」
「でもさ~、いきなり白目剥くから、白けちゃってよ。ごめんな、もう女として見れねーわ」
急に女の顔を出したルマンを見てついイラっとしてしまい、本音が漏れてしまう。
「こ、こ、こ、このクソ野郎っ! なんで私がフラれたみたいな気分味わってんだーっ!」
「おいおい、もういいだろう……済んだことだ。あんまりヒステリックだとモテねーぞ」
「お、お、お、お、お前がっ! お前が言うなあああああーーーーっ!」
結局、またルマンが騒ぎ出した。




