ヘッドハンティング
「まあ、悪く思わないでくれ。これはお互いのためなんだ」
リーをニームから持ってきていた特殊ワイヤーで椅子に縛り付けながらウィンが言う。
その間も俺は、インドラウェイブをリーに向けている。
「ふぉあ、ふぁお?」
「ああ、僕たちはもう『ブランズ』に戻るつもりはない」
「ふぉ……」
ウィンが拘束を終えるのを見届けてから、俺は勢いよくベッドに腰かける。
「じゃあ、早速本題に入んぞ。リー、てめえもこのままブランズを抜けろ」
「ふぉ、ふぉう!? ふぉー! ふぉう」
「おい、ウィン。こいつ何て言ってんだ」
「『ば、馬鹿か!? 俺は今まで命令に背いたことはない。もちろんターゲットを仕留め損ねたことも、な』と言っている」
「……なあ、内容と言葉数が合ってないような気がするんだが」
「イントネーションや表情を読み取るのも大事なんだよ」
「……そ、そうか」
見事にリーの通訳を熟すウィンに若干引く。
リーとはガキの頃に何度も作戦を共にしたが、特にコミュニケーションに困ることはなかった。
こいつは俺たちの言ってることを理解しているし、戦闘中や作戦中には、事前にお互いの役割が決まっていたから、肯定と否定の意思だけわかれば、何の問題もなかったのだ。
「おい、リー。これはお前にも悪い話じゃねーぞ。外に出てまだ三日と経っちゃいねーが、俺はわかった。俺たちはあの国にずっと騙されてきたんだ。目ぇ覚ませって」
「ふぉん」
「『俺は騙されてない』と言っている」
「チッ、強情な野郎だなー。おい、てめえこれ見てもそんな口が利けんのか?」
「!?」
紙袋から俺が取り出した物を見て、リーは目を丸くして固まる。
「どうだ? こんなものは確か映画の世界でしか使われてないから入手不可って話だったよな? でもここじゃ普通に土産物屋で売ってんぞ」
土産物屋で買ったシルクの服――リーが憧れている映画スターが着ていたのにそっくりな服を俺はリーの膝の上に置いてやる。
「ふぉ……ふぉ……ふぉう……」
「何だって?」
「いや、これには意味はない。ただ驚愕しているだけだ」
ややこしーな、もう……だが、あともう一押しっぽい。
「さらに、これなんてたったの30リベットぐらいの値段だったぜ」
「ふぉ……ふぉは……ふぉーあちゃーーーーっっ!!!」
俺が見せたヌンチャクに感極まったのか、咆哮するリー。
「もしお前が俺たちの仲間になるってんならこれをやる。ならないなら悪りぃがここで死んでもらう」




