ふぉあちゃーっ!!
「――だから言ってるだろう。ルラさんにはこの街を案内してもらっていただけだ」
「はっ、どうだかな。よそ者があんな美人にいきなり案内なんてされるもんかよ」
「ふっ……まあ、そこは僕だからとしか言いようがないな」
こいつはまじで一回女関係で痛い目に合わせてやりたい。
「……ところで、お前の持っているその紙袋には何が入ってるんだ?」
明日の朝このホテルまで来るように伝え、今日のところは姉弟は家に帰した。
ホテルでチェックインを済ませてから部屋に向かう間、ウィンが俺の持っている紙袋について尋ねてくる。
「こいつはとっておきだ」
俺は土産物屋で買った物をウィンに見せる。
「ふっ、なるほどね。それを見て安心したよ」
「俺の勘じゃあそろそろ来る頃だと思うんだがな」
「まあ、僕も来るならあいつだろうと思っている」
俺は部屋のドアを開ける。
ベッドが二つ、机が一つ、一人がけの脚付きソファが二脚、それらに挟まれるようにして小さな丸テーブルが一つ。そして、バスルームの前にクローゼットがある。
決して広くはないが、寝泊りする分には問題ない。
声をかけるまでもなく、俺がクローゼットと窓際を、ウィンがバスルームを調べる。
「まあ、こんくらいの高さなら簡単に入ってくるだろうな」
「出来れば起きてるときに来て欲しいもんだよ。取り合えず僕はシャワーを浴びさせてもらう」
ウィンがシャワーを浴びた後、俺が続き、それから俺たちは灯りを消した——
「——おい、ウィン。来やがったぞ」
灯りを消してから一時間ぐらいたった頃、窓の向こう側に人の気配を感じ取った俺は、ウィンに囁く。
一切音を立てずにゆっくりと窓が開き、人が入ってくる。
そのまま黒い影は、二つのベッドの間に立った。
「おい、そこまでだ」
急に明るくなった部屋で、侵入者がばっとこっちを向く。
「やっぱりてめえが来たか」
「やあ、リー。久しぶりっ、てほどでもないか。四日ぶりくらいだね」
インドラウェイブを構える俺の後ろから、電灯のスイッチを入れたウィンが出てくる。
俺に最悪の兵器を向けられた黒髪おかっぱで痩身の男――リーが一瞬憮然とした態度でこっちを見てから、
「ふぉ、ふぉ、ふぉっあちゃーっ!!」
いつもの奇声を上げ身構える。
「諦めろ。てめえを殺したくねえ」
「そうだよ、リー。僕らが争う理由なんてないんだ」
「ふぉあ? ふぉあふー!!」
リーは奇声と身振り手振りで何かを訴えてくる。
「もちろん君の立場はわかっている。だが、まずは僕らの話を聞いて欲しい」
「ふぉぉぉーーふぁーっ!」
「もっともだ。しかし、取り合えず落ち着いてくれ。いま君が攻撃してきたら俺たちも反撃せざるをえない。どっちに分があるかわかるね?」
「……おい、ってか、なんでお前こいつの言ってることがわかるんだ?」
「ん? 知らなかったのか……僕はブランズにいる間にいつの間にか彼の言葉がわかるようになっていたんだ」
…………。
「これって言葉なの?」




