場違いなお客様
「なあ、冗談なら冗談って早く言ってくれよ」
俺とウィン、そしてミュウと弟のラダでホテルのレストランのテーブルにつくと、ウィンが耳打ちしてきた。
「おい、嘘吐き野郎。てめえ、俺が連れて来た客にケチつけんのか?」
「まあ、そうだな。僕にはこの子たちが良い客には見えない」
俺が顔を近づけて凄んでも、ウィンは顔色一つ変えず本音を口にする。そんで、明らかにこのホテルには場違いな、メニューを読んでいる姉弟に目をやる。
「はんっ、女と遊んでたくせにいっちょ前に言うことは言いやがる」
「これでも遠慮しているつもりだが……一体何の客なのか? 僕らの商売とは何なのか? そもそも僕らはこんなことしている場合じゃないだろう? なんていうことは一つも尋ねていないだろ。短気なお前の心情を慮ってのことだ。まあ、僕には疚しいところなんて一つもないがな」
まあ、こいつがこの状況で目的もなく女とぶらぶらしてたってことはないだろう。
そんなことはわかっている。
ただのやっかみと当てつけだからな……。
「どうだい、何を食べるか決まったかな?」
「いえ、あの~。どういう料理か想像出来なくて……」
「じゃあ、僕が選んであげよう。うん、君にはこれがいいかな。で、弟君はどうする?」
「うーん、俺はこれとこれ。ついでにこれも」
「最後のはもうちょっと大人になってからにしようか」
「えっ!? お酒なんて頼もうとしたの? ラダ……あなた」
「いやいや、冗談だって……真に受けんなよ」
「ふふっ、中々、味のある子のようだね」
このガキども。
俺といたときよりなんかリラックスしてねーか?
ウィンなんてまだ自己紹介もしてねえぞ。なのに、どうしてこのクソ生意気なガキまではにかんじゃったりしてんだよ……。
「今日は俺の! 俺様の! お・ご・りだからな! 遠慮すんじゃねーぞ!」
俺の高らかな発言に、ミュウ以外の二人が、嘲るように微笑んだ。




