不本意な逆ナンパ
街をぶらついてると、見たこともない物が並んでいる店を見つけたから入ってみた。
珍しい物がそこら中に置かれている。どうやら東洋の土産物屋のようだ。
「おやっさん、こいつはなんだい?」
「そりゃ、ヌンチャクっていうシルク製の武器だよ」
「じやあ、こいつは?」
「そりゃ、どこかで崇められている神様さ」
「それじゃあ、こいつは?」
「そりゃ、東洋のハシっていう道具だ。あっちじゃそれで飯を食うのさ」
「ほう、そいつはおもしれえな。それじゃあ、こいつ――」
「あんた、まさか冷やかしじゃないだろうね?」
見たことがない物が多すぎてついつい質問攻めをしてしまう俺を訝しんだのか、店主らしきおっさんが胡乱な目を向けてくる。
「冷やかしじゃねーよ……ん、おい、これって?」
「……はぁ~。そいつはシルク製の服さ。あっちでの軍服みたいなもんだよ」
壁に掛かっていた見覚えのある服を俺は手に取ってみる。
シルク軍とも戦ったことのある俺は知っている。こいつは軍服じゃない。
「あんた、見終わったらちゃんと戻しといてくれよ」
「……いや、その必要はねえよ。こいつを貰おう。後、このヌンチャクってのも一緒にな」
外に出ると日も沈みかけ、ちょうど良い頃合いになっていた。
そろそろ宿に向かおうとしたとき、
「すいません……あの、もしかしてニームから来た人ですか?」
まだ十四、五ぐらいの藍色の髪を後ろで束ねた、将来性のありそうな少女が声をかけてきた。
「……悪いな嬢ちゃん。俺は女は好きだが、もちっと時間を早送りしてから出直してくれ」
「えっ、えっ、あれ、えと、ちょっと……」
手を振りながら立ち去ろうとする俺に、少女はたじろいでいるようだ。
「お願いします! 待ってくださいっ!」
服の裾を掴んで引き留めてくる少女の方を渋々振り返る。
「何だってんだ? あのな、男でも女でも諦めが肝心だぞ」
「すいません……おっしゃってる意味がわからないのですが……」
わかってはいたが、どうやら逆ナンパではないらしい。
「ちっ、じゃあいったい何の用なんだ?」
「し、質問に答えてください。あなたはニーム人なんですか?」
「どうしてそう思うんだ?」
「……やっぱり……お願いします! 私の家に来てください!」
答えを聞くまでもなく俺の正体を見抜いた少女は、両手を組み灰色の瞳で見つめてきた。




