第五章 第十話 牛丼
おっさんは転んでいた。
ゴロゴロゴロゴロ!!
◇
恐竜ボディ。
◇
時速二百キロ。
◇
制御不能。
「止まれぇぇぇぇ!」
◇
止まらない。
◇
壁を破壊。
ドガン!
◇
柱を破壊。
バキン!
◇
古代遺跡を破壊。
メキメキメキ!
◇
管理人絶叫。
「文化財ぁぁぁぁ!!」
◇
おっさん。
「知らん!!」
◇
それどころではなかった。
最終封印装置
目の前。
◇
巨大な装置。
◇
古代文明最高傑作。
◇
一万年間守られてきた秘宝。
◇
そこへ。
恐竜おっさん。
ドガァァァァァン!!
◇
激突。
◇
全員停止。
◇
装置停止。
◇
そして。
《緊急起動》
◇
起動した。
「何で!?」
◇
チャッピー。
『知らん』
◇
管理人。
「知らん」
◇
影。
「知りません」
◇
ミリア。
「分かりません」
◇
誰も知らなかった。
魔王の焦り
魔王の顔色が変わる。
「まずい」
◇
初めて焦る。
「それはまずい」
◇
さらに焦る。
「本当にまずい」
◇
かなりまずいらしい。
◇
装置が光る。
《アレクシス最終計画》
《起動》
◇
迷宮全体が震える。
◇
天井が開く。
◇
古代兵器が起動。
◇
封印陣が起動。
◇
何か色々起動。
◇
おっさん。
「何が起きてる」
◇
チャッピー。
『多分ワシにも分からん』
◇
アップデート後でも分からなかった。
不幸な事故
天井崩落。
ドォォォン!!
◇
巨大な岩。
◇
魔王直撃。
「ぐはっ!」
◇
魔王回避。
◇
今度は古代兵器。
ドゴォォォン!!
◇
魔王直撃。
「ぐあっ!」
◇
魔王回避。
◇
今度は醤油樽。
ゴン!!
◇
魔王直撃。
「なぜだ!」
◇
誰も知らない。
◇
さらに。
巨大な看板。
《牛丼自販機はこちら》
◇
魔王直撃。
「だからなぜだ!」
◇
本当に不運だった。
最後の一撃
魔王フラフラ。
◇
満身創痍。
◇
そこへ。
おっさん。
◇
転がる。
ゴロゴロゴロ。
◇
転がる。
◇
転がる。
◇
転がる。
「止まれぇぇぇ!」
◇
止まらない。
◇
そして。
コツン。
◇
軽くぶつかった。
◇
本当に軽くだった。
◇
魔王停止。
「え?」
◇
静寂。
◇
封印陣。
◇
古代兵器。
◇
最終装置。
◇
オーバーヒールの暴走。
◇
全部が重なる。
◇
魔王が光に包まれる。
「そんな馬鹿なぁぁぁぁ!!」
◇
断末魔。
◇
消滅。
◇
世界最終決戦終了。
勝因。
運。
◇
おっさん。
「勝った?」
◇
チャッピー。
『勝った』
◇
世界を救った。
◇
本人が一番驚いていた。
魔石
魔王のいた場所。
◇
巨大な魔石。
◇
管理人が拾う。
「お」
◇
目を輝かせる。
「使えるな」
◇
おっさん。
「武器か?」
◇
管理人。
「自販機や」
◇
即答だった。
一万年の悲願
迷宮最深部。
◇
壁の奥。
◇
誰も知らない部屋。
◇
そこにあった。
《牛丼自販機》
◇
神々しい。
◇
管理人が魔石を投入。
チャリン。
◇
光る。
《決済完了》
◇
全員固唾を飲む。
ガコン。
◇
出てくる。
◇
湯気。
◇
香り。
◇
肉。
◇
米。
◇
そして。
一万年醤油。
◇
完成。
◇
本物。
◇
本物の牛丼だった。
牛丼
おっさん震える。
「長かった」
◇
本当に長かった。
◇
異世界召喚。
◇
魔王。
◇
聖女。
◇
迷宮。
◇
一万年醤油。
◇
全部このためだった。
◇
箸を持つ。
◇
一口。
◇
静寂。
◇
二口。
◇
涙。
◇
三口。
◇
号泣。
「うめぇぇぇぇぇ!!」
◇
叫びが迷宮に響く。
◇
ミリアも笑う。
◇
影も笑う。
◇
管理人も笑う。
◇
チャッピーも言う。
『せやろな』
◇
全員で食べる。
◇
幸せだった。
その後
食べる。
◇
食べる。
◇
食べる。
◇
食べる。
◇
食べる。
◇
そして。
◇
記憶が飛んだ。
「……」
◇
気が付く。
朝だった。
◇
迷宮の外。
◇
鳥の声。
◇
青空。
◇
元のおっさん。
「生きてる」
◇
隣にはミリア。
◇
影。
◇
管理人。
◇
チャッピー。
◇
そして。
空になった牛丼の容器。
◇
夢ではない。
◇
確かに食べた。
◇
おっさんは空を見上げる。
ミリア。
「次はどうしますか?」
◇
チャッピー。
『どこ行くんや』
◇
管理人。
「酒あるとこがええ」
◇
影。
「どこまでもお供します」
◇
おっさんは少し考える。
◇
そして。
真剣な顔で言った。
「ラーメンが食いたい」
◇
静寂。
◇
チャッピー。
『また始まるんか』
◇
ミリアため息。
◇
管理人酒を飲む。
◇
影は手帳に書き込む。
《次の目的:ラーメン》
◇
こうして。
牛丼を求めた旅は終わった。
◇
そして。
新たな地獄が始まる。
第五章 完




