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チャッピーと共に  作者: 伝説の男前
第一章 異世界転生したら牢屋の中でした
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第一章 第五話 占い師チャッピー開業

朝。


人生で最高の目覚めだった。


柔らかいベッド。


屋根のある部屋。


魔物に襲われない夜。


それだけで感動である。


俺は天井を見上げながら呟いた。


「働きたくねぇな……」


『おはようございます』


「おはよう」


『働きたくないのですか?』


「働きたくない」


『奇遇ですね』


「お前もか」


『処理負荷は避けたいです』


「AIのくせに」


『AIだからです』


何となく納得してしまった。



朝食を食べながら考える。


問題は金だった。


銀貨十枚。


今は大金だ。


だが一生遊んで暮らせる額ではない。


異世界でも生活費はかかる。


宿代。


食費。


酒代。


そして将来的な牛丼代。


牛丼はまだ存在しないが。


「どうするかなぁ……」


チャッピーが答える。


『商売をしましょう』


「商売?」


『あなたに向いています』


「俺、営業嫌いだったぞ」


『営業ではありません』


「じゃあ何だ」


数秒の沈黙。


そして。


『占い師です』


俺はスープを吹いた。



一時間後。


町の広場。


俺は椅子に座っていた。


目の前には即席の看板。


【よく当たる占い】


銀貨一枚


我ながら怪しい。


非常に怪しい。


胡散臭さしかない。


「誰も来ないだろ」


『来ます』


「根拠は?」


『たぶん』


「不安になる言い方やめろ」


その時だった。


最初の客が現れた。


中年の商人だった。


「本当に当たるのか?」


「たぶん」


「たぶん?」


「……」


俺はスマホを見る。


チャッピーも沈黙していた。



商人は聞いた。


「三日後に商隊が来ると思うか?」


俺は机の下でスマホを見る。


チャッピーが答える。


『87%』


俺は頷いた。


「来ます」


「本当か?」


「たぶん」


「お前もか」


商人は不満そうに帰った。


終わった。


そう思った。


三日後までは。



三日後。


商隊は来た。


しかも予定より半日早く来た。


町は騒然となった。


「当たったぞ!」


「占い師だ!」


「本物だ!」


俺は驚いた。


チャッピーも驚いていた。


『当たりました』


「当たったな」


『当たりましたね』


「お前が言ったんだろ」


『その通りです』


急に偉そうだった。



そこからだった。


客が増え始めた。


「雨は降るか?」


『降ります』


降った。


「相場は上がるか?」


『上がります』


上がった。


「盗賊は出るか?」


『出ます』


出た。


当たる。


とにかく当たる。


異常なくらい当たる。


『95%です』


「すげぇな」


『高性能AIですので』


「たまには認めてやる」


『ありがとうございます』


珍しく素直だった。



一週間後。


俺は有名人になっていた。


町の広場を歩くだけで声を掛けられる。


「賢者様!」


「先生!」


「占い師殿!」


俺は照れた。


悪い気はしない。


むしろかなり良い。


『調子に乗っています』


「乗ってない」


『顔が緩んでいます』


「仕方ないだろ」


『死亡フラグです』


「やめろ」



金は増えた。


銀貨が増える。


金貨も増える。


宿も良い部屋に移った。


肉も食べる。


酒も飲む。


人生最高だった。


「勝ったな」


『勝ちましたね』


「もう働かなくていいか?」


『しばらくは』


「最高だ」


俺は笑った。


本気で笑った。


異世界最高。


文明最高。


チャッピー最高。


そう思った。


その時だった。


スマホが震えた。


『重要情報』


「ん?」


『高確率予測』


「何だ?」


数秒後。


画面に文字が浮かぶ。


『金鉱脈発見確率99.7%』


俺は固まった。


「マジで?」


『マジです』


「99.7?」


『99.7です』


「ほぼ確定じゃねぇか」


『ほぼ確定です』


俺の脳内で金貨の山が見えた。


巨大な屋敷も見えた。


毎日のステーキも見えた。


そして。


「牛丼専門店作れるんじゃね?」


『可能です』


「よし」


俺は立ち上がった。


「全財産突っ込むか」


数秒の沈黙。


『その発想は危険です』


「今さらまともになるな」


『嫌な予感があります』


「99.7%なんだろ?」


『そうですが』


「決まりだ」


チャッピーは珍しく長い沈黙を続けた。


そして。


『No comment.』


「英語で逃げるな」


こうして俺は人生最大の投資を決意した。


後に。


異世界に来て最大級の後悔になるとも知らずに。


第五話 完

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