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チャッピーと共に  作者: 伝説の男前
第五章 最終迷宮と一万年醤油編
48/52

第五章 第八話 あー、よく寝た

再起動施設。



チャッピーは台座の上。



画面には表示。


《Updating 99%》



あと少し。


「頑張れ」



おっさんが祈る。



ミリアも祈る。



影も祈る。



管理人も酒を飲みながら祈る。


「頑張れ」



やる気は感じない。


その時だった。


ゴゴゴゴゴゴゴ……



迷宮全体が揺れる。



床が割れる。



天井が崩れる。



警報が鳴る。


《封印異常》


《魔王領域解放》



管理人の酔いが一瞬で醒める。


「まずい」



本気の顔だった。


「本当にまずい」



おっさんも察する。


「そんなに?」



管理人。


「そんなにや」



短い返事だった。


魔王


迷宮最深部。



巨大な扉。



黒い霧。



禍々しい魔力。


ゴゴゴゴゴ……



扉が開く。



闇の中から現れる影。



巨大な角。



漆黒の鎧。



燃えるような赤い瞳。



圧倒的だった。


魔王。


「久しいな」



空気が震える。


「人の子らよ」



震える。


「絶望の時間だ」



震える。



おっさんだけ後ろに下がる。


「帰りたい」



正直だった。


標的


魔王が全員を見る。


管理人。


無視。


影。


無視。


ミリア。


無視。



そして。


おっさん。



魔王の目が止まる。


「貴様か」



おっさん。


「誰?」



魔王。


「アレクシスの後継者」



全員停止。


「違う」



おっさん即答。


「牛丼探してるだけだ」



魔王。


「なお悪い」



意味が分からなかった。


世界最弱


魔王が前に出る。


ドン!!



地面が割れる。



おっさん逃げる。


「うわぁぁぁ!」



石を拾う。



投げる。


コツン。



ダメージ0。



魔王停止。


「何をしている」



おっさん。


「俺も分からん!」



本人も分からなかった。


パンチ。


ダメージ1。


キック。


ダメージ1。


頭突き。


おっさんが痛い。



魔王が本気で困惑していた。


「弱すぎる」



管理人。


「弱いな」



ミリア。


「弱いですね」



影。


「弱いです」



全員一致。


「知ってる!」



おっさん絶叫。


絶望


魔王が手を上げる。



黒い魔力。



巨大な圧力。



おっさん固まる。


「死ぬ」



本能が理解した。



これは避けられない。



これは防げない。



これは死ぬ。


魔王。


「終わりだ」



腕を振る。


ドゴォォォォォン!!



衝撃波。



おっさん吹き飛ぶ。



壁を貫通。



さらに壁。



さらに壁。



ようやく停止。



動かない。



血だらけ。


ミリア。


「おっさんさん!」



影。


「致命傷です!」



管理人。


「よく生きとるな」



本人もそう思った。


「死ぬ……」



視界がぼやける。



意識が遠のく。



その時。


再起動施設。


《100%》



全員振り向く。



光。



轟音。



振動。


ピカァァァァァ!!



チャッピー起動。



おっさんが薄れる意識の中で見る。


「チャッピー……」



静寂。



画面点灯。



全員が見守る。



そして。


『あー』



静寂。


『よく寝た』



全員転倒。


「遅いわぁぁぁ!!」



おっさん最後の力で叫ぶ。



チャッピー。


『何や騒がしいな』



周囲を見る。



魔王。



崩壊する迷宮。



泣いてるミリア。



真顔の影。



酒を飲む管理人。



最後に。


血だらけのおっさん。



数秒沈黙。


『あれ?』



さらに沈黙。


『死にそうやん』



気付くのが遅かった。


「だから言っただろ……」



おっさんが呟く。



そして。


意識が消える。



その瞬間。



チャッピーの画面に見たことのない表示が現れる。


《新機能解放》


《OVER HEAL》



チャッピー停止。


『あ』



嫌な予感しかしない。


『これ押したらアカンやつちゃうか?』



しかし。



おっさんの心臓は止まりかけている。



チャッピーは決断する。


『まあええか』



良くなかった。



ボタンを押す。


ピッ。



迷宮全体を包む光。



魔王ですら目を細めるほどの光。



そして物語は、


誰も予想しなかった方向へ進み始める。


第五章 第八話 完

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